LinuxとIBMが盛り上げる企業システム

2001/5/9
11:24 PM EST Fri., May 04, 2001, By Al Senia, VARBusiness

 マイクロソフト以外の選択肢として、Linuxを導入する企業が世界的に増えている。ベネズエラをベースとした金融機関、Banco Marcantilもその1社だ。

 つい最近、米国に管理拠点をもつ同銀行では、メインフレーム上のLinuxでWebアプリケーションを稼働するシステムを導入し、カスタマーがインターネットを介して自分の口座情報を安全にチェックできるサービスの構築に着手する。

 この銀行に限らず、企業のLinuxへの関心は高まりつつある。そして、Linuxを戦略の重要な一部としている企業は恩恵を受けている。その1社がIBMだ。Banco Marcantilのシステム移行でも、Banco MarcantilはそれまでのWindows NTサーバをIBMのメインフレームへ置きかえる。同銀行の幹部によれば、HP(ヒューレット・パッカード)とサン(・マイクロシステムズ)のサーバ上で稼働していたアプリケーションも、Linuxプラットフォームに移行する予定だという。ソリューションの中心であるメインフレームはIBM S/390 G6で、ファイル・サーバ、インターネット・サーバとファイアウォールはLinuxディストリュビューターのSuSEの製品を用いている。

 IBMの幹部は、Banco MarcantilはLinuxを企業システムに用いた最初の南米企業で、金融業界で見れば世界でも先進的な企業の1つだと評価している。

 「Banco Marcantilの事例は、Linuxが企業(エンタープライズ)システムでの利用に応えるレベルであることを証明している」とIBMのeビジネスストラテジー・ディレクターのPete McCaffrey。「金融業界のユーザーはとても要求レベルが高い。金融機関がLinuxをメインフレームに実装したということは、Linuxが企業システムでの利用に応えることができるという大きな立証となる」(同氏)。

 McCaffrey氏によると、Banco Marcantil以外にも、IBMとIBMのソリューションパートナーの間で企業の会計システムにLinuxを実装する「多くのパイロット・プロジェクトが進行中だ」という。

 Banco Marcantilの幹部は、Linuxは信頼性・効率性が高く、コスト効果に優れていると評価する。同行のITインフラストラクチャー・マネージャーのIsaac Arismendi氏は「LinuxをIBMのメインフレーム上で動かすことにより、コストパフォーマンスに優れた方法でシステム統合が実現する」と語る。「メインフレームで稼働するアプリケーションに加え、システムの可用性、信頼性、パフォーマンスが向上した」(Arismendi氏)。

 Banco Marcantilはベネズエラの首都カラカスに本社を置く銀行で、30億ドル相当の資産を持つ。同行は、マイアミ、ニューヨークに支店を持つCommerece Bankを傘下に持つ。

[英文記事]
Linux and IBM Making Gains in Global Enterprise Accounts

[関連リンク]
SuSEの発表資料(英語)
IBM

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