新Alphaサーバ発表のコンパック、「Alphaの開発は継続する」

2001/7/11

「AlphaServer GS320」

 コンパックコンピュータは7月10日、都内で会見を開き、Alphaサーバの新製品「Compaq AlphaServer GS」シリーズ、UNIXオペレーティングシステム「Compaq Tru64 Unix」およびクラスタ製品「Compaq TruCluster Server」の最新バージョンを発表するとともに、先月末に発表した64ビットサーバ開発におけるインテルとの提携についての説明も行った。

■世界初、1GHz 64ビットシステム

 コンパックのUNIX関連事業は好調で、2000年度のTru64 UNIXサーバでの収益は前年比36%増となった。新製品のCompaq AlphaServer GSは、1GHzの64ビットAlphaチップであるEV64を搭載した製品。クロック周波数が1GHzを超えるUNIXの64ビットシステムは本製品が世界初となる。

 キャッシュメモリの大容量化(8MB)、システムクロックやI/O速度の高速化などを行い、各種ベンチマークテストで、従来モデル(EV67プロセッサ731MHz搭載モデル)に比べ、40〜70%のパフォーマンス向上を達成したという。

 対応OSはTru64UNIX、OpenVMS。Linux用のADK(Application Development Kit)も提供される。主な仕様、価格、出荷時期は下表のとおり。

製品名 主な仕様 希望小売価格 出荷時期
「AlphaServer GS80」 Alpha 21264B(EV68)プロセッサ1GHz×1(最大8)、8MBキャッシュ、1GBメモリ(最大64GB)、9.1GB HDD 1735万5000円 8月中旬
「AlphaServer GS160」 Alpha 21264B(EV68)プロセッサ1GHz×1(最大16)、8MBキャッシュ、1GBメモリ(最大128GB)、9.1GB HDD 4985万5000円 8月中旬
「AlphaServer GS320」 Alpha 21264B(EV68)プロセッサ1GHz×1(最大32)、8MBキャッシュ、1GBメモリ(最大256GB)、9.1GB HDD 1億1185万5000円 8月中旬


 「Compaq Tru64 Unix V5.0A」では信頼性を強化した。高可用性を実現する機能として、OLAR(Online Addition and Replace:オンラインでCPU交換・追加が行える)機能を追加し、メモリ巡視機能やリソース管理機能の改良を行った。「Compaq TruCluster Server V5.1A」ではパフォーマンス向上のために、NUMAアーキテクチャの最適化や、コンパイラ機能とファイルシステムも改良した。またLANベースでクラスタのインターコネクトも実現した。

 同社は今年2月に米オラクルと開発・検証などで提携関係を結んでいる。同クラスタ技術は米オラクルのクラスタデータベース技術として「Oracle 9i Real Application Clusters(RAC)」に採用されており、同機能を搭載した新製品は7月11日にも正式リリースされる予定だ。

■「Alphaへの投資は継続して行う」

「EV7が最後ではない」とジェンキンズ氏。Alphaの開発を引き続き行うことを強調した

 先月26日、同社とインテルは64ビットエンタープライズ・サーバに関して技術提携することを発表した(「コンパック、サーバをAlphaからItaiumベースへ完全移行」参照)。この件について、米コンパックのハイパフォーマンスサーバ マーケティング&ビジネス開発担当副社長 ドナルド・ジェンキンズ(Donald Jenkins)氏とコンパック エンタープライズビジネス統括本部 Alpha製品本部長 市原隆保氏は同日、補足説明を行った。

 まず提携の骨子については以下の3点とした。

  1. 次世代64ビットエンタープライズ・サーバについて共同開発を行う
  2. 次世代64ビットエンタープライズ・サーバについて共同でマーケティングを行う
  3. Alpha技術とリソースをインテルに提供する

 今後、コンパックが実際にとるアクションとしては、

  1. Tru64UNIX、OpenVMS、Nonstop kernelを統合し、64ビットアーキテクチャへ移植を開始する
  2. Itanium プロセッサ・ファミリ(IPF)ベースのサーバへの柔軟なマイグレーション・パスを提供する
  3. 並列化テクノロジーセンターを共同で設立する

市原氏はユーザーに柔軟かつ容易な移行を提供するとした

 Alphaシステム(EV68とEV7)に関しては、むこう3年間は開発を継続する。販売は2008年まで、サポートは少なくとも2013年まで継続する。その結果、Alphaのロードマップはこれまで通りで、EV7は2003年にリリースする予定とした。コンパックのAlpha関連のエンジニアは順次インテルに移籍する模様だ。具体的には、EV8の開発に携わるエンジニアはインテルへの移動を開始する。EV7の開発者はコンパックで開発作業を継続し、完了したらインテルへ移籍することになるという。

 気になるItaniumへの移行については、市原氏は、「Alphaを継続して仕様、IPFを適用(Alpha/Itaniumの混在クラスタ環境を提供)、IPFへ移行(データは100%保証される)の3つの選択肢を提供する」とした。Alpha技術を取り入れた次世代Itaniumは2004年リリースを予定しており、2008年まではAlpha、Itaniumの両方が提供されることになる。同社としては、その4年間でユーザーに何らかの決定をしてもらう意向ということだろう。

 「2004〜5年には32ビットサーバと64ビットサーバが拮抗し、2008年には80%が64ビットへ移行するといわれている。コンパックとインテルは“64ビットでマーケットシェアを取る”という共通のゴールを持っていることを確認し、今回の提携に至った」と市原氏、「決して開発費をけちったわけではない」。そして、同社はソリューション・ベンダーへ変換を図っていくことを明らかにした。

[関連リンク]
コンパックの発表資料

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