Oracle9iは「5倍の性能、10倍の信頼性」

2001/7/12

 日本オラクルは11日、都内のホテルでOracle9iの発表を行った。Oracle9iは、「Oracle9i Database」と「Oracle9i Application Server」の2つの製品からなる同社の次期主力製品。代表取締役社長の新宅正明氏は、「Oracle9iは従来の5倍の性能、10倍の信頼性を目指した。ここを最も伝えたい」と、新製品を強くアピールした。Oracle9iの出荷は今年10月から開始される予定。

「5倍の性能、10倍の信頼性を目指した」と新宅社長(左) 横は保科部長

 Oracle9i Databaseでは、クラスタリング性能を大幅に向上させた。同製品のクラスタ方式は、複数のサーバで1つのディスクを共有する「シェアドディスク」方式。従来この方式では、ディスク上で行われるサーバごとの排他制御がスケーラビリティのボトルネックになっていた。同製品では、排他制御情報をメモリ上にあるキャッシュで行う機構を採用し、この問題を解決した。

 また、障害や人的エラーに対応する機能を用意した。前述のクラスタ機能は障害対応に、データ障害や災害には、スタンバイ・データベースを提供するData Guard機能を用意、人的エラーで誤ったデータ削除や変更があっても、過去のデータを参照できるフラッシュバック・クエリーを備えるなど、計画内外に発生する停止時間を最小化でき、「汎用機レベルの信頼性、可用性に対応した」(保科実 執行役員 製品本部長)という。これ以外にも、Internet File Systemや、Webサービスへの対応など、Oradcle9i Databaseには400を超える機能追加や強化が行われた。

 Oracle9i Application Serverは、J2EEに完全対応したWebアプリケーションサーバ。同製品の特徴はスピードだ。効果的なキャッシュ機構の利用で、他社アプリケーションの10倍以上高速であることをデモンストレーションでアピール。JavaVMそのものの高速化もはかっている。また、SOAPをサポートしたことでWebサービスにも対応した。

 同社が明らかにしたIDC Japanの資料によると、国内RDBM市場での同社のシェアは約60%。新宅社長は、「Oracle9iで、できればシェア70%を超えたい」と抱負を語った。特にインテルアーキテクチャのサーバに徹底的にコミットするという。「IA-64が登場すれば、Wintelの時代は終わる」と、暗にLinuxによるエンタープライズ市場の拡大を示唆し、その市場を押さえることでシェア拡大を狙う目論見のようだ。

(編集局 新野淳一)

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