サン、日立と提携後、初のハイエンド・ストレージを発表

2001/9/19

「Sun StorEdge 9910」 右上にサンのロゴ、左中央に日立のロゴが並ぶ

 サン・マイクロシステムズは9月19日、ハイエンド・ストレージ の新製品「Sun StorEdge 9900シリーズ」を発表した。同社は今年8月、日立製作所(米国では日立データシステムズ )と世界規模での提携を結んでおり、今回の製品は提携後、初の製品となる。

 サン・マイクロシステムズ 代表取締役社長 菅原敏明氏は、8月に発表された提携(「サン、日立のハイエンド・ストレージ提供へ」参照) を改めて以下の4点にまとめた。

  • サンが日立製のハイエンド・ストレージを販売
  • それぞれのストレージ管理ソフトウェアの相互ライセンス販売
  • 高可用性、高管理性を実現するソフトウェアの共同開発
  • 検証やサポートのためのグローバル・ミッションクリティカル・サポートセンターの設置

 両社は今後、ブランディング、マーケティング、接続性などの認証を共同で行ない、製品にも 両者のロゴを並べることになる。「UNIXサーバのナンバー1のサンとRAIDストレージのナンバー1の日立が組む。世界ナンバー1のハイエンド・ストレージが誕生する」(菅原社長)。

 サンのストレージ分野でのラインナップは、NAS製品である「N8000シリーズ」、インターネットサーバとしてのラック型ディスクアレイ「A1000/D1000」などがあり、新製品投入により、ボックス型ディスクアレイという3つ目の製品ラインが誕生する(製品の機能については、下表を参照のこと)。

サン 菅原社長 同製品を見込み、取扱いと要望したのは菅原社長本人だったため、社内では“菅原プロジェクト”と呼ばれた

 同社が提携により狙う市場は、iDCなどのミッションクリティカルなハイエンド市場。ストレージ最大手のEMCが強いといわれている市場だ。これまでのサンの製品としては、「T3」がこの分野をカバーしてきたが、ユーザー企業の導入形態を見ると、同社製品だけではニーズを満たせていなかったという 。「ERPやDWHの導入、汎用機のリプレースといった需要に応えられるのはやはりボックス型という結論に落ち着いた」と同社 エンタープライズシステム事業部兼ストレージ営業本部 統括部長 山本恭典氏。

 提携による顧客へのメリットは、クラスタ、ストレージ、サーバなどが単一ベンダで揃うこと。「オープンシステムとはいっても 、ミッションクリティカルな分野では1社での提供・サポートが求 められていたのが現実」(山本氏)。

 技術カンパニーを誇る同社が、アライアンスを組んで他社製品を自社のブランドとして販売するのは、創業以来初めてという。今回の提携がいかに重要なものかを物語っているといえよう。菅原社長は、優れたコア技術があれば提携して提供していくという「新しい戦略を作った」と語る。日立は汎用機時代からストレージに取り組んできた、この分野では古参ベンダだ。提携を考慮していたサンは、日立の技術やブランド力などを高く評価したという。

 同社のとった戦略の影には、打倒EMCという目標があることは明らか。「(新製品は、)機能としてはEMCと同等。冗長化や転送速度などを実現し、信頼性や管理面では上回る」と山本氏は自信を見せる。ストレージが収益が見込める唯一の分野となった現在、同社のとった“異例な決断”が功を奏するか、新製品はそれを占うものとなる。

製品名 Sun StorEdge 9960 Disk Array Sun StorEdge 9910 Disk Array
搭載ディスクドライブ 18GB、73GB 18GB、73GB
ドライブ数 最大512 最大48
ディスク容量 最大27.5TB(RAID5)/37TB(Raw) 最大2.4TB(RAID5)/3.5TB(Raw)
キャッシュ容量 最大32GB 最大16GB
ホスト・インターフェイス FC‐AL×32 FC‐AL×24
ポート数 4〜32 4〜24
RAID Level RAID5/RAID1 RAID5/RAID1
データ伝送速度 最大100Mbps 最大100Mbps(Fibre Channel)

(編集局 末岡洋子)

[関連リンク]
サン・マイクロシステムズの発表資料

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