雇用ミスマッチ解消のキーとなるか、技術者養成推進NPOが発足

2001/11/13

 11月12日、IT技術者養成や学校教育におけるIT教育推進を目的に結成された「特定非営利活動法人(NPO)インターネット・ラーニング・アカデミー(ILA)」が設立の概要や活動予定を説明した。

 同団体は11月1日に東京都の正式認可を受けたNPOで、IT教育推進を主たる目的で設立されたNPOとしては世界初という。現在、三重県、福岡県、財団法人日本インターネット協会、社団法人日本教育工学振興会などの後援を受けており、特別協賛企業は、沖電気工業、サン・マイクロシステムズ、シスコシステムズ、日本オラクル、日本ヒューレット・パッカード、マイクロソフトの6社。

 理事長に就任した慶應義塾幼稚舎長 金子郁容氏は、設立の趣旨について「必要なときにいつでも学ぶことができる環境を技術面で支援する」と語る。活動の柱は、IT技術者の養成とITにとどまらない次世代を担う人材の育成の2本。それに基づき、学校におけるITカリキュラムに関して教員トレーニングを含む技術支援、学習にITを取り入れる効果的手法に関する実証実験や検証、IT教育およびITを利用した教育に関し地域活動のサポート、などの活動を行う。協賛企業は、自社のeラーニングシステムやトレーニング・コースの提供や技術提供を通して、同団体の活動をサポートする。

 2002年3月までは準備期間、同4月より展開を図るとしているが、具体的な行動プランはまだ未定。当面の課題は学校におけるIT技術者の養成およびIT利用学習システムの開発になる見込みだ。

 学校とITという課題に関し、副理事長の東京大学教授 市川伸一氏は、「PCなど(ハードウェア)が学校に導入されたが、(それを使って)何をしたらよいのかを模索している状態」という。教育学が専門の同氏は、教育の場にITを生かすには「ハードウェア、ソフトウェア、利用をサポートする技術者であるヒューマンウェア、そして具体的なアクティビティの4つが不可欠」と見ており、学校などの教育現場をIT技術者の活躍の場の1つとした。

 発表会に列席した協賛各社のそれぞれのコメントから、市場はIT技術者不足を緊迫課題と見ていることがうかがえる。「雇用のミスマッチを埋めるためにも同NPOが果たす役割は大きいのではないか」と述べたサンの取締役会長本田敬吉氏だけではなく、技術者不足を指摘する意見は6社共通していた。「e-Japan実現のために必要な技術者は現在の10倍」というシスコシステムズ 黒澤保樹代表取締役社長はさらに、「これ(人材不足という課題)を官ではなく、問題意識を持った人が集まって結成したNPOで解決するところがオープンな時代を象徴している」と述べた。

 豪華な顔ぶれがそろった協賛企業だが、市場ではライバル関係でもある。マイクロソフトの阿多親市代表取締役社長は、「日ごろは競合している各社が、共通の目的のために一同に会することは素晴らしい」と、オラクルの新宅正明代表取締役社長は「オラクルの技術者が増えることよりもグローバルに活躍できる技術者のプロが増えることに期待している」と、それぞれ期待を語り、IT技術者養成に対して企業の枠を超えて取り組む姿勢を明らかにした。

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ILA

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