ブロードバンド時代を切り拓くか!? CDN JAPANが稼働開始

2001/11/14

 インターネットイニシアティブ(IIJ)、日本オラクル、シスコシステムズをはじめとする8社共同プロジェクト「CDN JAPAN」は11月13日、ブロードバンド向け配信システム「CDN-J プラットフォーム」の稼働を開始し、同社が指定するCATV14局ならびにISP2社の契約ユーザーに対して、CDN(Contents Distribution Network)を利用したコンテンツ配信のテスト事業を行うことを発表した。テスト事業では、常時100〜150本の動画像などのエンターテイメント系コンテンツの配信を行う(配信帯域は300kbps/1Mbpsの2種類)。なお、2001年11月13日より2002年3月31日までは無料配信期間としているが、2002年1月より有料コンテンツも配信される予定だ。

CDN JAPANのサイト(クリックで拡大)

 近年、ADSLやCATV、光ファイバなど、エンドユーザー側でのブロードバンド・インフラの契約数が急激に伸びている。現状ではMbpsクラスの帯域を生かすようなコンテンツは少ないが、ブロードバンド時代の新たなビジネスチャンスとして、コンテンツ配信事業は今後の伸びが期待される分野である。だが、現在のインターネット上に1Mbps以上の帯域を必要とするようなストリーミング・コンテンツの配信をそのまま行おうとすると、配信サーバやバックボーンが負荷に耐えられず、遅延の発生や映像品質の低下は避けられない。

 そこで登場するのがCDNである。今回発表されたCDN-Jプラットフォームのシステムでは、HSMNと呼ばれるIIJの高速バックボーンを用いて、そこに直結されたiDCよりコンテンツの配信を行う。このHSMNには、IIJ4U、So-netのISP2社ならびに各CATV局のネットワークが接続され、各社内のサーバに配信コンテンツのキャッシングをしておく。コンテンツを利用するユーザーは、いちどiDCのサーバに接続して認証を受けた後、最も近い場所にあるサーバ(多くの場合は自分が接続しているISPのキャッシュ・サーバ)に振り分けられ、コンテンツの配信を受けることになる。CDNと呼ばれるこれら一連の仕組みにより、バックボーンやサーバに大きな負荷をかけず、安定したコンテンツ配信を受けることが可能になる。

 ただし、システムの制約上、コンテンツを利用可能なのは、上記CATV14局ならびにISP2社のブロードバンド回線(ADSLなど)の契約ユーザーに限られている。これら各社の契約ユーザーはユーザー登録を行うことでサービスを利用できる。

 今回のCDN-Jプラットフォームでは、このようなネットワークやサーバに負荷をかけない仕組みに加え、実際にコンテンツ配信ビジネスを行ううえで重要な「ユーザー認証」「課金処理」「著作権管理」「ログ集計」などの要素も盛り込まれている。コンテンツを提供するコンテンツ・ホルダーにとって、コンテンツのコピーなどによる不正利用は頭の痛い問題だ。本システムでは、cIDf(contents ID forum)のコンテンツID技術を用い、コンテンツ管理機能を実装した。これにより、不正利用を防ぐほか、居住地域や年齢で閲覧できるコンテンツに制限をつけるなどのことが容易に行える。また、地上波を利用したTVなどに比べ、「どのユーザーが」「どのコンテンツを」「どれだけの時間利用した」という情報が正確に測れるため、視聴情報の蓄積によるレコメンデーションやマーケティング活動が可能になり、新たなビジネスチャンスが到来する可能性も秘めている。

 CDN JAPANにおける各社の役割は、IIJがバックボーンとiDCの提供、ソニーコミュニケーションネットワーク(So-net)がインフラの提供、シスコシステムズがCDNの基本システムとネットワーク機器の提供、日本オラクルが認証やコンテンツ管理部分でのDBMS提供とシステム構築、イーエムシージャパンがストレージ機器の提供、サン・マイクロシステムズと日本ヒューレット・パッカードがサーバの提供、伊藤忠テクノサイエンス(CTC)が運用まわり、という位置付けとなっている。

 これまで、CDNというキーワードは随所で見受けられたが、実際に本格的なシステムとして稼働した例はあまり見られなかった。今回、業界をリードする各社が集まり、率先してシステムの提案を行うことで、ブロードバンド時代における今後のコンテンツ・ビジネスの盛り上がりが期待される。

(編集局 鈴木淳也)

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