高まるワイヤレス通信のセキュリティを望む声

2002/2/15
By Keith Dawson, CommWeb.com Jan 22, 2002(8:33 AM)

 米調査会社 フロスト&サリバンの研究員によると、ワイヤレスデバイスの全面的な導入を考えたとき、セキュリティ関連の問題が導入の大きな障害になっているという。ワイヤレス通信デバイスが普及し、重要な情報がワイヤレスで転送されつつあるため、企業システムにセキュリティ機能を実装することが求められている。

 アナリストのホセ・ロペス氏は、「ヨーロッパを見ると、これまでセキュリティに対してむとんちゃく、あるいは意識に欠けていたが、企業情報を保護するための予防手段が重要だとの認識が高まっており、ワイヤレスセキュリティ市場が急速に成長すると予想されている。企業の間では、社員がリスクを最小限に抑えながら機密性の高い企業情報にアクセスできるよう、堅牢なセキュリティ機能を導入するという需要が高まっている」と話す。

 ワイヤレスセキュリティは、モバイルデバイスベンダ各社、モバイル通信機器メーカー各社、セキュリティベンダ各社、ワイヤレス通信事業者、システムインテグレーターやコンサルタント、企業自身、そして最終的にはエンドユーザーまでも包含する複数の関係者による共同作業となる。

 フロスト&サリバンでは、モバイルデバイスのセキュリティ、ワイヤレス通信のセキュリティ、そして専門サービスによって構成されるヨーロッパのワイヤレスセキュリティ市場における2001年の収益を9960万ドルと判断している。

 ワイヤレスサービスへのニーズが高まる状況では、2005年には7億9390万ドルという膨大な規模となるパイから他社より大きな一切れをつかめるのは、きちんとしたワイヤレス環境向けソリューションを提供可能なセキュリティベンダだけだ、と著者は信じている。

 「2005年以降を見据えた場合、ワイヤレスデバイスおよび通信のセキュリティ確保に対する認識が高まることが予想される。創世期にあるこの市場の成長を妨げるセキュリティという問題に、ワイヤレス技術がうまく対処できれば、市場は相当なレベルの成長を維持し、その結果現在よりも高い地位を確立すると予想される」(ロペス氏)

 同氏によると、「統合や保守のサービスをはじめとするワイヤレスセキュリティの専門サービスは、通常は国際的なワイヤレス技術導入の一環となっていて、単独で進めるようなアプローチを用いることはまれだ。一例として、ワイヤレスLAN(WLAN)を導入する組織では、あとからセキュリティ機能を付加する必要のなりソリューションを選ぶ傾向がある」という。

 現在、モバイルデバイスのセキュリティ関連で最も大きな割合を占める分野はラップトップ。2001年に約1690万ドルの売上高があったと推定されている。しかしフロストでは、PDAや携帯電話の機能が向上し、ワイヤレスPKIといった特定の技術をサポートするようになれば、ラップトップの市場規模を上回ると予想している。

 また、WLANの技術向上よりもまず、WANのセキュリティに関する問題を解決することが結局はこの分野への技術的貢献は大きいと見なされ、WANのVPNセキュリティの方が早い成長を遂げるように思える、とも示唆している。

 「ワイヤレスセキュリティの導入にあたっては、ネットワーク全体にまたがる包括的なセキュリティを実装するために関連要素をすべて考慮することが重要だ。ポイント単位のソリューションでは不十分だ。さらに重要なこととして、攻撃を受けやすいポイントは倍増する可能性が高いため、導入するソリューションは互換性ともに拡張性も求められる」(ロペス氏)

 モバイルデバイスは、保護された企業ネットワーク内の固定デバイスよりもはるかに多くの敵に囲まれた環境で使用することになる。したがって、セキュリティポリシーも異なるものを適用しなければならない。

 1つのデータ転送方法に対し、その転送データを盗用もしくは盗聴するための手段は複数あるため、適切なセキュリティ技術を導入することでワイヤレス転送のセキュリティを確保する必要がある。しかし、正しく実装されていれば、ワイヤレス環境におけるセキュリティが有線の環境に劣ることはないはずだ。

[英文記事]
Appetite For Wireless Security Grows

[関連記事]
押し寄せるワイヤレスLANの波 (@ITNews)
ワイヤレスも要武装、「アンチウィルス対策を」 (@ITNews)
ファイヤウォールの外へ飛躍できないVPN (@ITNews)
「セキュリティは制約ではない。可能性を広げる」とチェック・ポイントCEO (@ITNews)
"自社の最悪のシナリオに対応せよ"、早くも4Gの展開を予想 (@ITNews)

Copyright(c) 2001 CMP Media LLC. All rights reserved

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)