[Interview]
テロから企業データを救ったベリタスの“SWAT”とは?

2002/3/5

 2001年9月11日、世界を震撼させた世界貿易センタービル(WTC)での米同時多発テロ。多数の死者や行方不明者を出したという側面のみならず、情報やインフラの集積地が攻撃されることの“もろさ”をも同時に露呈する結果となった。特に、iDCなどの損壊によるデータの喪失やビジネス機会の逸失は、企業に多くの損害を与えた。今回のテロがもたらした教訓は、有事に備えいかにデータを分散管理し迅速に復旧するか、企業システムの管理体制を見直すことにあったといえるだろう。

 ストレージ関連のソフトウェアベンダ大手の米ベリタスソフトウェアでは、事件の翌日にフリーダイヤルのサポート窓口を開設したほか、「SWAT」(Special Weapon And Tactics)と呼ばれる専門のサポートチームを設置、顧客のデータ復旧のための体制を整え作業にあたったという。今回は、SWATチームのマネージャとして陣頭指揮をとった米ベリタスソフトウェア エンタープライズ・サポートサービス シニア・マネージャーのスティーブ・カートビック(Steve Kurtovich)氏と、同社日本法人でコンサルティングサービスに携わっているベリタスソフトウェア プロフェッショナルサービス部長 谷井成吉氏の2人に、WTCの米同時多発テロでの経験や、同社が考えるディザスタリカバリ(disaster recovery:災害復旧)ソリューションについて話を聞いた。


――WTCでの同時多発テロの際に結成したSWATとはどのような組織なのか? その活動内容は?

米同時多発テロ後は、まったく休みなくデータのリカバリに専念していたという米ベリタスソフトウェア エンタープライズ・サポートサービス シニア・マネージャーのスティーブ・カートビック氏

カートビック氏 同時多発テロの攻撃を受けた9月11日、たまたまフロリダでベリタスの経営陣が集まる機会があり、その席で顧客に対して最も高いレベルのサポート・サービスを提供することが決まり、すぐにオンサイトのサポート部隊を結成した。それが、当社でエンタープライズ・サポートにあたる技術者から集めたSWATチーム『fly-to-site』だ。

 SWATには、短時間にどんなクリティカルな事態にでも対処する、という意味が込められている。顧客から要請があったら、すぐにでも車で現場まで行けるような人を集めている。また技術者以外に、管理や実務、顧客とのやりとりを行う『アカウントマネージャ』も部隊に加えている。この2種類のメンバーの組み合わせで、被害を受けた弊社の顧客12社のオンサイト・サポートにあたった。ストレージから始まり、中にはサーバへのOSのインストールまで、弊社の製品と直接関係ないことまで含めて対応した。アカウントマネージャが顧客との窓口になり、場合によっては24時間体制でオンサイト対応にあたれるよう、人的リソースの確保なども行った。

――100%データのリカバリに成功したとのことだが、復旧作業において苦労した点は?

カートビック氏  今回の例だと、証券取引を行う顧客において、テラバイト級の大量のデータ復旧が必要だったことが挙げられる。苦労の末に、最後の1本のテープの状態までたどりついたが、そこからデータを復旧させるのに失敗してしまった。最終的には、複数の専門施設に痛んだテープを持ち込み、データの復旧を100%復旧させることに成功した。この失敗の場合は、テープの使いすぎが原因であり、バックアップのサイクルに問題があった。今回の事件での教訓は、ディザスタリカバリに関するドキュメントを、何らかの形で残していかなければならないということだ。今回の場合は、リモート・バックアップやクロス・バックアップといったことがきちんとできていた企業は問題がなく、バックアップの成功事例といえる。

――リモート・バックアップの重要性は分かるが、ニューヨーク以外の都市にバックアップを持つ企業はあったのか?

カートビック氏 残念ながら、事件現場から最大でも15マイル離れた場所というのが実際だ。ディザスタリカバリの考えでは、10マイル以上離れた場所にバックアップを配置することになっているからだ。実際、作業にあたった12社は、この方法ですべてフォローしていた。米国の証券取引企業では、遠くに離れた場所にバックアップ・センターを配置することがない。もちろん、日本などでは地震などの災害が起こると、十数マイル程度の距離では全滅してしまう可能性があるため、その限りではないだろう。

ベリタスソフトウェア 技術本部 プロフェッショナルサービス部長 谷井成吉氏

――ディザスタリカバリとはどのようなものか? 従来までのバックアップサービスとは何が違うのか?

谷井氏 通常のバックアップ・サービスと異なるのは、システム復旧までにかかる時間であるRTO(Recovery Time Object)やRPO(Recovery Point Object)をいかに短縮できるか、顧客のニーズに合わせてメニューを用意していることにある。下は通常のバックアップから、上はレプリケーションやグローバル・クラスタリングまで、RTO/RPOのランクに合わせてサービスを提供する。メリットとしては、さまざまなソフトや機器を組み合わせてサービスを提供できることにある。これまで、このようなクリティカルな案件には、メーカーがカスタマイズ・ベースで提供することが多かった。ベリタスが扱う製品はソフトウェアという経緯もあり、汎用ソフトを組み合わせた、いままでにないソリューションを提供できるということだ。

――今後、日本での体制は?

谷井氏 金融やe-ビジネス関連の市場を攻めていきたい。これまで、バックアップは『仕方がないから』という考えが先行してきた面があるが、『ビジネスを継続する』というニーズに応えるための、なくてはならないソリューションとしてディザスタリカバリを推進していきたい。

(編集局 鈴木淳也)

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