今度はIAサーバでも本気で戦うと、日本IBM

2002/3/14

 日本IBMは3月13日、インテルのインテル Xeon プロセッサMPを最大8プロセッサ搭載できるIAサーバの「IBM eserver xSeries 440」を2モデル発表した。また、同社は同時に「xSeries 360」にIntel Xeon 1.4Ghモデルと、IAサーバの外部I/Oの増設を可能とする「RXE-100 リモード拡張ユニット」を発表した。

「他社との徹底的な差別化」を、IAサーバの柱にするという、日本IBM 理事 システム製品事業部長 小出伸一氏

 IBMのxSeries 440は、同社のIAサーバにおける戦略製品だ。日本IBM 理事 システム製品事業部長 小出伸一氏は、「昨年10月に発表したUNIXのハイエンド・サーバ『Regatta』(IBM eserver pSeries 690のコードネーム)は、サーバ争いに終止符を打つために投入した。これでIBMがUNIXで本気だと皆さんに伝わった。今回のxSeries 440の発表は、IBMは今度はIAサーバの市場で本気で戦っていくことの表れ」と、同社の意気込みを語った。

 では、どのような戦略で他社のIAサーバに打ち勝とうというのか。その答えは差別化だいう。小出氏は、「xSeries 440は、新しいアーキテクチャを搭載し、他社と徹底的に差別化を図る。これまでzSeriesやpSeriesで培った技術をxSeriesに投入する。それがエンタープライズX-アーキテクチャー(EXA)だ」と、同社のIAサーバ戦略を述べた。

 しかし、日々コモディティ化が進むIAサーバでは、こうした差別化も短期間で終わるのではという懸念に対して小出氏は、他社はIBMに簡単には追いつけないという。「なぜ、他社が追いつけないのか。それは、当社がこれまで開発した技術を、水平展開して投入しているため、低価格で新技術を採用できるが、他社はゼロから開発を行う必要があるからだ」と小出氏はいう。

「IBM eserver xSeries 440」

 同社が自信を持つxSeries 440の主な特徴を挙げると、次のようになる。

(1)4Uのコンパクト設計
 xSeries 440は、標準で4CPU、最大8CPUを搭載することができるが、筐体は4Uのコンパクト設計を実現している。この実現のために、同社は内部のPCIスロットを削減、外部拡張ユニットとした。これにより、本体のコンパクト化を実現し、拡張する場合、外部拡張ユニットのRXE-100 リモード拡張ユニットを利用することで、最大18スロットまで利用できるようなる。また、CD-ROMドライブやFDDなどの駆動装置関連は、同社のThinkPadの技術を利用した。


(2)「Xcel4サーバー・アクセラレーター・キャッシュ」の搭載

 「Xcel4サーバー・アクセラレーター・キャッシュ」は、サーバのサブシステム間(CPU、メモリ、I/O)のやり取りを大幅に効率化できるようになり、最大20%のパフォーマンス向上を実現できるという。

(3)XpandOnDemandスケーラビリティ
 XpandOnDemandスケーラビリティは、4CPUから8CPUへのアップグレード、そして今年第3四半期には、16CPUへのアップグレードを提供するという。また、同時期に複数の筐体を1つのシステムとしても、4区画の物理分割もできるようにする。さらに前述したように、拡張性を外部にもたせることで、拡張性を大幅に向上させたという。システムを段階的に(4→8→12→16CPU)アップグレード可能とすることで、ユーザーのビジネスの拡大に合わせて機能向上を図れるようにした。

(4)メモリの信頼性・可用性の大幅な向上
 同社では、メモリの信頼性・可用性を向上させるため、障害を3段階に分け、それぞれに対応できるようにした。第1段階としては、ビット単位の障害を回避する同社の「リダンダント・ビット・ステアリング」という新技術を、「メモリーProteXion」として搭載。なお、この機能は同社の開発プロジェクト「eLiza(イライザ)」の成果の1つ(Self-Healing:自己修復機能)。第2段階としては、複数ビット単位の障害に対応するため、同社の上位サーバに採用している「ChipKillメモリー」機能を搭載した。そして第3段階として、DIMM(メモリ・モジュール)の障害発生に耐えられるよう、メモリを二重化する「メモリー・ミラーリング」機能を搭載した。メモリの二重化により、システム稼働中のメモリ交換を実現した。これらにより、メモリ障害率は、ECCメモリを使用した場合の200分の1に低減できたという。

 さらに、同社が開発したxSeries 440に搭載したXeon MP専用のチップセット「IBM XA-32」には、同社の銅配線技術を利用したことで、他社のチップセットと比べ、格段に熱対策が施され、xSeries 440のコンパクト化にも貢献している。なお、同社ではIA-64のMcKinleyに対応したチップセットも開発中で、Mckinleyの出荷とともに発表できる体制だという。

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