マイクロソフト、大学との提携でサービス向上を目指す

2002/3/28

 マイクロソフトは3月27日、日本国内の大学との共同研究や人材交流などを含めた大学間連携プログラム「Universtiy Program」と、同社が4月15日からWebサイトのサポートページで提供を開始する検索サービス「ダイアログナビ」の発表を行った。

 University Programは、次のような活動を中心に行うという。

マイクロソフトと大学間のデジタルデバイト解消に向けた共同研究
 話し言葉検索やマイクロソフト単語帳など

デジタル教材の開発や教育カリキュラムなどの教育支援
 高等学校用のデジタル教材の開発支援。教育カリキュラムの設立支援(.NET関連の教材提供)、学生向けプログラミング・コンテストの開催

MSDN Academic Allianceの提供
 大学のコンピュータサイエンス系の学科や研究室を対象に、教員数・学生数にかかわらず年間一律での費用(11万8000円)によるOSや開発ツールなど、マイクロソフトの最新製品の提供

Microsoft Researchとの連携プログラム

 音声認識や自然言語、3Dグラフィックスなどをテーマに、大学との学術交流を支援(現在、東京大学大学院新領域創成科学研究科と東京大学生産技術研究所と提携済み)

マイクロソフト 取締役 経営戦略担当の東 貴彦氏は、大学との提携は、UNIXやLinuxシステムを利用する学生を、Windowsシステムも利用してもらおうといった意図はないと否定した

 マイクロソフトがUniversity Programを行う背景には、「アクセシビリティ」の問題があったというのは、同社 取締役 経営戦略担当の東 貴彦氏だ。そもそもは身体の障害によるユーザビリティの格差を埋めるため、「主として出入力デバイスの研究をテーマにしていた。しかし、問題はそれだけではなく、専門知識の差による情報取得機会の格差や、利用環境の差による情報格差の拡大などを解消するため、、「Bridge the Digital Divide」を合言葉に研究を拡大してきた」と東氏。同社はこれらの課題を克服するため、代替手段の提供、分かりやすい言葉による情報の提供、だれにでも使いやすい環境の実現を目指してきたという。しかしマイクロソフト1社だけでは行えることに限界があり、そのために選んだのが大学との提携だったという。

 すでに大学との共同研究の成果は、同社のWebサイトのサポートページで使用しているという。その成果とは、昨年8月に東京大学中川研究室と開発した話し言葉検索、11月に同研究室と開発したマイクロソフト単語帳がある。

 さらに4月15日から提供を開始するのが、東京大学黒橋研究室と早稲田大学山名研究室と共同で開発した「ダイアログナビ」(対話型の検索の絞り込み)だ。ダイアログナビは、検索を対話型のナビゲーションで行うもの。これにより、ユーザーの調べたいことにたどりつきやすくするという。また、「したい」という検索用語を入れればヘルプ情報を優先して表示したり、「何」といった言葉では言葉の定義を表示する、といったように、適切な情報をユーザーに提供するようにしたという。なお、サービスはマイクロソフトのサポート情報内で提供される。

 早稲田大学 理工学部情報学科 助教授 山名早人氏は、「ソフトウェアの分野では、基礎と応用・実用との差は小さく、基礎の段階から応用・実用を考えた研究が重要だ。そして大学は基礎研究といった考えからの脱却が必要」と語る。そして企業との共同研究のメリットとして、「大学はアイデアを企業に提供でき、大学は企業の持つ実データやユーザーを対象とした研究ができる」ことを挙げる。マイクロソフトとの共同研究では、同社が持つ膨大なサポートのログなどがそれに当たるという。

 山名氏は、同サービスの今後の展望として、ユーザーの意図を把握したような検索の実現を目指したいという。具体的には、AとBのand検索の後、ユーザーがAという単語だけを再度検索した場合だ。山名氏は、「ユーザーは、AとBでは検索が絞り込まれすぎた可能性がある。そこでAという言葉で再度検索した可能性がある。この場合システムは、それを認識し、Bを含む語を上位にランクすべきだろう」と述べた。

 同社のこれまでの活動をさらに組織化し、今後ほかの大学とも共同研究などを広げていくため、今回発表したUniversity Programを活用していくという。

 マイクロソフトと大学とで共同開発した成果物は、できるだけ早く同社のWebサイトのサポートページで公開していきたいという。東氏によると、同社の製品や有償のサポートなどでの成果物の利用は、「知的所有権などの関係で、大学などと協議する必要があるため、とりあえず可能なところから提供する」と述べ、当面のサービス提供は、Webベースのサポートページが中心になりそうだ。

[関連リンク]
マイクロソフトの発表資料

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