スタートから1年のJXTA、その現状と課題は?

2002/5/1
April 23, 2002, 3:49 p.m. ET, InternetWeek By Richard Karpinski

 米サン・マイクロシステムズのJXTAリサーチプロジェクトは、開始から1年という節目を迎えるが、いまだに立ち上がったばかりの印象がぬぐえない。しかし、現時点では初期段階で、未完成ではあるものの、その前途はかなり有望だ。

 ピア・ツー・ピア(PtoP)通信用のプロトコルセットを定義するJXTAの最初の1年は複雑な経過があった。だが、JXTAへの関心と支持は着実に高まっており、JXTA.orgへの登録ユーザー数は1万人以上、JXTAのコードのダウンロード件数は50万件と報告されている。

 今年は、もう1つのオープンソースPtoPプロジェクトである「Jabber」(商用版派生プロジェクトのJabber.comも含む)も立ち上がった。だが、Jabberも初期段階から抜け出せず、成長、そして熟成の余地を大きく残したリアルタイムアプリケーションインフラの新技術にとどまっている。

 JXTA(およびJabber)などのPtoP一般の成長は、あっという間に拡大したSOAPに代表されるXML-RPCなどのWebサービスプロトコルの勢いに比べると見劣りがする。新しいプロトコルの採用は接戦とは言い難いが、2つの取り組みを比較することはJXTAの相対的成功を正しくとらえることになるだろう。補足になるが、後にJavaプラットフォームとして普及を遂げた技術は、登場後1年はサン社外ではほとんど知られていなかった(確かにすべては相対的である)。

 JXTAのプログラム/コミュニティマネージャ、Juan Soto氏は、「Webサービスは、クライアント/サーバやWebアプリケーションから進化した次のステップに過ぎない。一方、われわれがJXTAで実現しようとしているのは、革新的なこと。多くの人にとって、かなり大きなステップとなるだろう。PtoPは実際、急進的な技術であり、Javaの登場時と同じように、発展には多少の時間が必要だろう」と語った。

 厳密に言えば、Webサービス自身もある程度PtoPスタイルのアプリケーションである。Soto氏は、PtoPアプリケーションについてはWebサービス以外にも4つの分野が発展してくると考えている。1.コラボレーション(ファイル共有、IM(インスタントメッセージング)、掲示板など)、2.コンテンツ配信ネットワーク(PtoPプロトコルを使ってネットワークのエッジ部分にコンテンツを配信)、3.分散リソース共有(SETI@Homeプロジェクトなど)、4.PtoP型ゲーム、の4つで、同氏は4番目のゲームが成長分野だと確信している。

 このようなアプリケーションを促進するため、オープンソースJXTAプロジェクトではPtoPのアプリケーションとネットワーク向けにアプリケーション「スタック」を定義し、アプリケーション間でのデータ交換や連携を可能にする基盤となるパイプのようなものを提供している。サンが開発して「J」の頭文字で始まるものの、JXTAはJavaプラットフォームをベースにしているわけでも、実行にJavaプラットフォームを必要条件としているわけでもない。デベロッパは、Java Standard EditionおよびMicro Editionを含むJavaプラットフォームのほか、C言語、Python、そしてPerlでもJXTAプラットフォームを実装できる。 

 だが、JXTAベースの商用開発はあまり行われておらず、JXTAプロトコルを自社の環境に持ち込んだ大手ツールベンダは数えるほどだ。サンが公開しているベンダは、米Avaki、米Cimpler Technologies、米Improv Technologies、米Inclusive Software、米InfoGlyptic Software、独Infonie、米Internet Access Methods、カナダのnDevia Networks、米R-Objects、オランダのTryllian、米VistaPortalなどだ。

 JXTAプラットフォームの開発とチューニングは現在も着実に進んでおり、新規プロジェクトとしては「ipeers」(PtoPネットワーク用人工知能)、Voice-over PtoP、「Edutella」(20校の大学を結ぶPtoPネットワーク)などがある。Soto氏によると、JXTAグループではJXTAプロトコル標準化の可能性を検討しており、同技術にとって最適な標準化団体がどこか検討しているという。

 規模のやや大きい企業の中にも同プラットフォームに取り組んでいるところがある。Soto氏によると、NASAの少なくとも2つのグループがJavaベースのコラボレーション環境構築を進めており、National Association of Realtors(NAR:全米不動産業協会)もJXTAを利用することで会員相互がよりダイレクトに意思の疎通を図れるよう支援しているという。一方、独シーメンスではJXTAをワイヤレスタブレットに実装し、その成果をJXTAコミュニティに還元している。

[英文記事]
JXTA Turns 1; Sun Keeps Pushing P-To-P Platform

[関連リンク]
JXTA.org
jabber.org

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