アドビ、フォームベンダを買収し、電子政府とエンタープライズ市場へ

2002/5/23

米アドビ システムズのブルース・チゼンCEO 今回、ビジネスショウの基調講演のために来日した
 米アドビ システムズは「Adobe Accelio」ブランドでサーバ・アプリケーションに本格参入する。これは、同社が先月、買収を完了したカナダのXMLフォームベンダ、アクセリオ(旧ジェットフォーム)の製品群を統合したことを受けてのことで、BtoBや企業内情報管理、そして電子政府といった市場をターゲットとする。

 5月22日、来日中の米アドビ システムズ 社長兼CEO ブルース・チゼン(Bruce Chizen)氏はプレス向けに説明会を開催し、同社の掲げる“ネットワークパブリッシング”のビジョンや戦略を明らかにした。

 「よりよいコミュニケーションの手助けをする、これが創業以来のアドビのミッション」とチザン氏。インターネットの普及により、業務が紙ベースからWebベースへと移行しつつある。主力製品の「Adobe Acrobat」が活用されるデジタルパブリッシング関連の市場規模は約4千億ドル。創業20周年を迎えた同社は、事実上の標準といえるAcrobatで、信頼性があり、かつ視覚的にも魅力的な形で、情報の配信・閲覧を可能にしてきた。無償閲覧ソフトウェア「Adobe Acrobat Reader」のユーザー数は5億以上、現在、WindowsやPalm OSをはじめ13種類のOSをサポートし、アドオンなどを提供するビジネスパートナーは1800社にものぼる。今年は、Acrobatの顧客ベースで50%拡大を目指す。

 アクセリオを買収して進出するのが、プロセス管理などワークフロー分野だ。「これまで、Acrobatを基幹業務に利用する場合、顧客側でカスタマイズが必要だった。Adobe Accelioにより、“off-the-shelf”の完成度の高いソリューションを提供できる」(チゼン氏)。

 Adobe Accelioは、電子フォーム作成・運用機能の「Capture」、Web/XML/電子フォームでビジネスプロセスの電子化・自動化を行う「Integrate」、アウトプットをXMLデータや電子メールなどに処理する「Present」の3製品で構成される。同製品群により、WebとXMLの両技術を使ってビジネスプロセスやワークフローの統合が実現する。そして、Acrobatとの組み合わせにより、電子フォームのプロセス管理からアウトプット、さらにはコラボレーションが実現する。

 「XMLはコンピュータ間のコミュニケーションには優れた技術だが、コンピュータと人のコミュニケーションには適していない。AcrobatはXMLデータのコンテナやルータの役割を担う」とチゼン氏、あくまでもPDFとXMLは相互補完の関係であることを強調する。

 同ソリューションで同社が狙っているのが、世界的にも注目されている各国の電子政府市場だ。日本でも全省庁や47都道府県が何らかの形でPDFを採用しており、Adobe Accelioの採用事例も愛媛と岐阜の2県ある。

 日本でもアドビとアクセリオの統合は進んでおり、すでにアドビ内に営業、マーケティング、技術サポートやSIパートナーのサポート部隊が活動を始めているという。

 Acrobatの次のバージョンでは生産性を向上させ、電子署名やマークアップ、レビューといった機能も付加する予定という。また、閲覧ソフトウェア「Adobe Acrobat Reader」に関しては、今後も無償で提供するとしている。

 Acrobatはすでに広範に普及しているが、今後電子政府化が進むにつれ、使う機会はさらに増え、ユーザー層も拡大する。そんな状況下、同社の挑戦は使いやすさにある。同社が現在の独占的立場に甘んじることなく技術革新を続けるかどうかは、電子政府の進捗動向にも影響を与えることになりそうだ。

(編集局 末岡洋子)

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