名称変更したHP NonStop Server、新たな市場へ挑戦

2002/6/26

 コンパックコンピュータは6月25日、無停止型超並列サーバのNonStop Himalaya2機種を発表した。

 同社は今回、「Compaq NonStop Himalaya」の名称を、ヒューレット・パッカードとの合併に伴い、「HP NonStop Server」に変更すると発表した。また、気になるNonStop Serverの製品ロードマップだが、こちらは変更なく、2003年にMIPSチップを使用した性能向上した機種を発表すること、2004年にItaniumへ移行する予定だという。

 今回発表されたのは、MIPS R14000 550MHzを搭載した「HP NonStop S86000 server」とMIPS R14000 500MHzを搭載した「HP NonStop S76000 server」の2機種。S86000は現行の最高機種S74000に比べて190%、S74000は150%の性能向上を図れたという。両機種の特徴としては、システム・エリア・ネットワークのバンド幅が向上したこと(従来の50MHzからS86000で110MHz、S76000で100MHz)、大容量メモリ(最大16GBのメモリをサポート)、高速アクセスのサポート(S86000で2次キャッシュを8MBに拡張など)、これまでの筐体や資産をそのまま生かせる共存性の3つがあるとする。

コンパックコンピュータ 常務取締役 営業統括本部長 吉田雅彦氏は、自身の経験でも、Himalayaが短期間にこれだけの性能アップできたことが驚きだという

 コンパック 常務取締役 営業統括本部長 吉田雅彦氏は、NonStop Serverについて「インターネット、モバイルなどの普及で24時間365日眠らない社会になってきている。その中にあって情報システムは、水道やガスなどと同じユーティリティ(公共事業)と同じになってきた。一方で、情報システムのトラブルが社会的な問題となってクローズアップされている。こういう時代だからこそ、NonStopが次の時代の技術となる」と語り、同社のNonStop技術への自信を見せた。

 実際にNonStop Serverのビジネスは順調で、2000年度に日本で過去最高の売り上げを記録した記録した後も、順調に成長し、昨年も好調だったという。

 NonStop Serverの売り上げが好調な理由について吉田氏が挙げるのは、「稼働中にトラブルが生じたとき、システムを拡張するときにサービスを止めてシステムを停止することがなくできる点をユーザーに評価されていること、NonStop Serverというと独自のOS、システムというイメージを持つが、いまやJavaやCORBA、XML、Webサービスなどのオープン技術を採用し、それらが分かる技術者であれば、だれでも利用できること、そして高い性能を誇るNonStop SQLだ」という3つの点だ。

 これまで以上に処理が速くなったNonStop Serverのマーケットは、従来の大規模OLTP市場やデータウェアハウス市場などだけではない。ANSI/ISO SQL-92を採用し、ODBC 3.5、JDBC 2.1、XMLなどをサポートするHimalaya専用の次世代RDBMSの「NonStop SQL/MX」によって、無停止型データベースサーバ市場、無停止型Webサービスサーバ市場を狙っていくという。

 コンパック Himalayaサポート本部 飯塚力哉氏は、「現在のシステムの問題点は、ダウンサイジングの時代をへて、さまざまなシステムが乱立し、システムが複雑化している点だ。しかも情報は分散、重複している」と語る。「そうした企業に対して、解決のアプローチとして分散協調型、統合協調型の2つの方向がある」と続ける。そうした2つの解決策に、NonStop Serverが有効だとする。

HP NonStop Serverの新しい筐体デザイン

 分散協調型の場合、コールセンター、Webサイト、店舗システム、販売管理システム、会計システムなどをそれぞれシステム間でデータ連携、システム連携を図るより、すべてのデータをNonStop Serverに集約することで、各システムとの連携はすべてNonStop Serverを経由する無停止型ハブシステムとして機能するという。統合協調型では、SFA、レガシーシステム、ERP、SCMなど別々にある情報(製品情報や顧客情報)を、NonStop Serverに集約・統合することで、無停止型データベースシステムとして機能するという。

 吉田氏は、「ユーザーが現在望んでいるのは、リアルタイムで顧客の情報の履歴を見たいというものだ。Webシステムだろうが、リアルな店舗だろうが、いつサポートに連絡したかなど、そのすべてをリアルタイムで知りたいというニーズがある。現在のシステムでは、さまざまなデータが各サーバに散在しているため、ある顧客のデータを得るには、バッチ処理などが必要だったりと、時間がかかる現実がある」と述べる。

 そして、こうした投資ができる企業が今後生き残ると吉田氏は強調する。では、どんな企業がNonStop Serverを導入するのかを聞くと、「トップがコスト削減のために目先だけでシステムを導入するのではなく、長期的な視点でシステムの導入を決断する企業だ」と、吉田氏は述べた。

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コンパックコンピュータの発表資料

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