「従来の手法は通用しない」、トレンドマイクロの新ウイルス対策構想とは?

2002/6/27

 トレンドマイクロは6月26日、企業向けウイルス対策の新構想「トレンドマイクロ エンタープライズ プロテクション ストラテジー(TM EPS)」を打ち出した。2002年3第3四半期から同構想のセミナーをビジネスパートナー向けに開始し、2002年第4四半期に製品やサービスの提供を開始する。具体的な価格体系は未定。

トレンドマイクロCEO
スティーブ・チャン氏
「従来型のウイルス対策は無効」と力説

 TM EPSは、ウイルスの発生から終息までにかかわる一連の対応を同社が独自に7段階、3ステージに分類した「ウイルス・アウトブレーク・ライフ・サイクル」に基づいて集中管理し、感染被害と対策コストを最小限に抑えようとする新構想。おのおののフェイズで同社が蓄積してきた知識、経験、技術力を基盤としたサービスをパートナーに配信し、パートナーは自社独自の付加価値を加えたインテグレーションを行うことで、包括的な企業向けウイルス対策ソリューションを提供することになる。

 同社が分類したウイルス・アウトブレーク・ライフ・サイクルは、第1段階を「事前対策」、第2段階を「ウイルス検出/駆除」、第3段階を「回復/損害診断」と規定する。

 フェイズとしては、「新種ウイルス発生の通知」「感染被害拡大予防措置」「感染被害拡大予防措置完了通知」「パターンファイルアップデート(更新)」「ウイルス検出/駆除」「ネットワーク内の再建策とウイルス駆除」それに「ネットワーク復旧と再感染防止のための事後分析」という7フェイズで対応する規定を設けた。

 同社CEO スティーブ・チャン氏(Steave Chang)は今回、企業向けの新たなウイルス対策の構想を打ち出した経緯について、「PE_NIMDAに代表される新種の複合型ウイルスの登場は、パターンファイルの更新や検索エンジンの提供のみといった従来型のウイルス対策を無効にした。これは企業のIT管理者にとって悩みの種となっている。ウイルス発生以前から発生後を包括的に管理するサービス&サポートの展開が望まれていた」と話す。

 同社では新構想の開始に伴い、ビジネスパートナー向け支援を強化する新たな認定プログラムを発表した。

 従来、同社はビジネスパートナー認定に基づき、ビジネスパートナーの販売促進や個別の商談などを支援してきた。またTCAE/TCSEなどの認定試験の実施や販売代理店支援サイト「Trend Partner Web」を通じ、販売代理店パートナー向けに情報提供や拡販資料のサービスを提供してきた。

 今回の新たなビジネスパートナー認定プログラムでは、従来の支援活動に加え、企業におけるウイルス対策の形態に合わせた包括的な販売支援と同社のウイルス解析・サポートセンター「Trend Labs(トレンドラボ)」を通じた技術支援を強化することになる。

 ビジネスパートナーは業務内容に応じて(1)リセール・パートナー、(2)ソリューション・パートナー、(3)サービス・パートナー、(4)テクニカル・アライアンス・パートナーの4つのカテゴリに分類され、各業務内容に適応した製品/サービスが同社から提供される。

 同社CFOのマヘンドラ・ネギ氏(Mahendra Negi)は、「コストがかかっても優良なサービスを受けたい顧客と具体的な製品やツール、サービスがなくてビジネスを展開できないシステム・インテグレータとのギャップが現在生まれている。今回のビジネスパートナー制度の刷新、そして企業向けウイルス対策の新構想は、このようなギャップを埋めるソリューションとなるはずである」と自信をみせた。

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トレンドマイクロの発表資料

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