HP、Itanium2に最適化したチップセット搭載のサーバを発表

2002/7/10

HPが発表したItanium2搭載の製品群。前列左から、「hp workstation zx2000」、同zx6000、「hp server rx2600」、同rx5670 (後列はラック収納時)

 

 7月9日、インテルの「Itanium2」の発表を受け、日本ヒューレット・パッカードが同CPUを搭載したサーバおよびワークステーション製品を発表した。インテルとHPとは、約10年にわたりItaniumを共同で開発してきた経緯があることから、HPではいち早く製品を発表し、そのアドバンテージを生かしていく意向だ。

 日本HP 代表取締役社長 寺澤正雄氏は、「SSLを用いた通信、高品質なブロードバンドサービスなど、システムは大規模化・複雑化している」と述べ、プロセッサレベルでの性能向上の必要性を予見し、インテルと共同でItaniumの開発を続けてきたことに触れた。初代Itaniumのリリースから1年以上経過してのリリースとなるわけだが、あらためて「エンタープライズ市場を狙う」と意欲を見せる。

 同社のItanium2搭載製品群の特徴は、新CPUに最適化された独自チップセット「hp zx1」。4wayまでのSMP構成をサポート、メモリは最大48Gbytesまでサポートするチップセットで、これまでより広いメモリ帯域幅(「hp server rx2600」が8.5Gbytes/秒、「hp server rx5670」が12.8Gbytes/秒)を持ち、スケーラビリティに優れているという。

 OSについては、hp-uxのほか、Linux、WindowsのOSに対応する。具体的な比率については明らかにしなかったものの、先月hp-uxの最新版「hp-ux 11i ver1.6」を発表したことから、当面はhp-uxを中心に展開していく意向のようだ。同社 執行役員 BCO マーケティング統括本部 本部長 松本光吉氏は、「バイナリ互換、データ互換、ソースコード互換などにより、投資を保護する」と述べ、PA-RISCからItaniumへの移行を推進する考えを明らかにしている。

左から、日本HP 執行役員 BCO マーケティング統括本部 本部長 松本光吉氏、日本HP 代表取締役社長 寺澤正雄氏、インテル 代表取締役社長 ジョン・アントン氏

 今回、同社が発表したのはサーバ2製品(「hp server rx2600」および「hp server rx5670」)とワークステーション2製品(「hp workstation zx2000」「hp workstation zx6000」)。

 サーバ製品のrx2600は、2CPUまで搭載可能な2Uサーバでメモリ容量は1Gbytes(最大12Gbytes)、価格は181万6000円より。rx5670は、4CPUまで搭載可能な7Uサーバで、メモリ容量は1Gbytes(最大48Gbytes)。出荷はrx2600が8月中旬、rx5670が9月上旬の予定。

 新チップセット搭載により向上されたというパフォーマンスは、SAPのSD(Sales & Distribution)モジュールを搭載した4way構成のrx5670の場合、コンパックコンピュータの「Proliant DL590」(Itanium 800MHz搭載、4way構成)と比較して2.4倍、IBMの「xSeries 440」(Xeon XP 1.5GHz搭載、8way構成)と比較して1.5倍の性能アップを実現しているという。

 同社は、今後もインテルとの協業体制を続けていくとして、8〜64wayシステムをサポートするチップセット“Pinnacles”を開発中であることも明らかにした。「弊社の課題は、システムベンダとしてCPUの能力をいかに引き出すかだ」と松本氏は述べ、パフォーマンス、信頼性/可用性、投資保護などにより市場でのリードを獲得していく意気込みを見せた。

(編集局 末岡洋子)

[関連リンク]
HPの発表資料(「hp server rx2600」「hp server rx5670」)
HPの発表資料(「hp workstation zx2000」「hp workstation zx6000」)

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