[e-Learning WORLD 2002開催]
注目を集めるのは、人事マネジメントシステムとの連携

2002/7/27

 昨年は約100社・団体が出展していた「e-Learning WORLD」だが、今年は約170社・団体が出展するまでの規模となった。イベント会場を見回し、昨年と顕著に異なると感じるのは、大きなブースを構える企業などが多くなったことと、企業向けのソリューションが大幅に増加したことだ。

 企業向けソリューションを提供する企業のブースでよく聞かされたのは、「eラーニングを入れただけでは、問題は解決しない」、ということだ。以前ならば企業にeラーニングを売り込むには、短期間で集合研修よりも安いコストで研修を実現でき、いつでもできるというメリットを訴えればよかった。しかし、現在導入予定企業や導入済み企業から問われるのは、研修をいつ受講したかや、社員の研修結果の成績を確認したい、受けた研修などの成果を、ほかの社員と共有することはできないか、企業の人事マネジメントシステム(HRMS)から研修情報を閲覧できるようにしてほしい、などといった要求の実現だ。

 こうした要望を受け、現在第3世代eラーニングと呼ばれるソリューションが注目を集めている。それらを簡単にまとめれば、eラーニングだけではなく、集合研修やメンタリングなどまでを含めた管理が可能で、かつHRMSなどのほかのシステムとの連携が可能なものだ。

 展示でもそうした展示が、各所で見られた。例えば、NECの「Cultiva II」や「Cultiva Enterprise Powerd by Docent」(基盤として使われているのはドーセント)、日立電子サービスの「HIPLUS」や日立システムの「人材情報管理システム」(開発元は三菱電機インフォメーションシステムズ)などだ。人材情報管理システムは標準ではHRMSとの接続はできないが、スタムメイドで対応可能だという。また、HIPLUSも現在のバージョンでは機能は限られているが、今後さまざまな機能を付加していく方向にあるという。また、一部の企業では、eラーニングと連携・連動したナレッジマネジメントシステムといったアプローチを取る展示を行うところもあった。

NECの「Cultiva Enterprise Powerd by Docent」 日立システムの「人材情報管理システム」

 今回のe-Learning World 2002の取材で多くのベンダが強調していたのは、どんな研修にもeラーニングが有効なわけではない。従来の集合研修などの方がいい場合もあり、それらをどのようにうまく活用できるかにある、という点だ。また、現在はeラーニングシステムを導入して満足し、その後の運用管理(コンテンツの入れ替えやバージョンアップを含め)までをきちんと考慮していない企業も多いという。

 つまり、eラーニングの導入で重要なことは、研修目的を明確にし、どういった研修にeラーニングが有効なのか、そうした導入計画とともに、導入後の体制をきちんと考えられるかという、システム導入にあたって基本的な約束事のようだ。

[関連リンク]
e-Learning WORLD 2002
e-Learning Forum 2002 Summer

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