[Interview]
eラーニングを活用する3つのポイントとは

2002/8/2

 日本オラクルは、同社のeラーニングサービス「Oracle Learning Network」(OLN)の内容や価格体系を刷新、7月1日より、さらにeラーニング向けの学習管理システム(LMS)「Oracle iLearning」を、7月24日より相次いでサービスの提供を開始した。

 OLNでは、「ORACLE MASTER」の資格取得対策を強化したほか、これまで対応していなかった「ORACLE MASTER Platinum9i」コースも提供を開始し、さらに価格も従来のサービスに比べて20〜30%程度安くした。また、従来のサービスは使いにくいという声もあったため、使いやすさにも十分配慮したという。さらに、これまで企業がOLNを導入する際に、コース受講者の進ちょく状況や理解度などの情報を企業側に効率よく提供する手段がなかった。そうしたニーズにこたえるために今回発表されたのが、Oracle iLearningだ。

 Oracle iLearningは、SCORMやAICCなどの国際標準規格に準拠したLMSで、学習者の進ちょく度や理解度、学習コンテンツなどを効率よく管理できるようになる。また、同システムは同社のビジネス・アプリケーション「Oracle E-Business Suite」のコンポーネントの1つとして提供されている。次期バージョンでは、「Oracle HRMS」などの「Oracle E-Business Suite」の他モジュールと統合されるという。

 Oracle iLearningの発表に合わせ、米オラクルのOracle Universityのシニア・バイスプレジデント ジョン・ホール(John L. Hall)氏が来日した。そこで、同氏に今後の同社のeラーニングの方向性などについて話を伺った。


米オラクル シニア・バイスプレジデントのジョン・ホール氏
――まず、Oracle Universityについて簡単に教えてほしい。

ホール氏 Oracle Universityは、オラクルの研修・トレーニング部門として存在する。そこで働く従業員は2000人で、そのうち1400人が講師だ。われわれは、4つの分野の人材へ教育を行っている。まず1番目は自社の従業員に対してで、毎年4万2000人に教育している。2番目は、パートナー向けで、毎年1万1000人に教育している。3番目は、高校生や大学生向けで、毎年27万5000人に教育している。そして4番目がオラクルの顧客に対してで、毎年67万5000人に教育している。合わせれば毎年全世界で約100万人がOracle Universityのトレーニングを受けていることになる。

――こうしたLMSは以前提供されていなかったのか?

ホール氏 日本では初めての製品です(笑)。ほかの国では4年前から提供していた。日本で提供するにはベストの形で提供したかった。つまり、今回の製品がベストと判断したわけだ。

 iLearningは、PowerPoint、ビデオ、オーディオ、DVD、ストリーミングであれ、利用することができる。iLearningの機能を使えば、生徒に教材を提供し、生徒の学習履歴を管理できる。iLearningはパフォーマンス、スケーラビリティ、セキュリティの面からも顧客に選ばれるだろう。

――人事管理システムとの連携も可能ということだが。

ホール氏 現在のバージョンでは、XMLを利用すれば人事管理システムとの統合は可能だ。将来は、データスキーマレベルでの統合が可能になり、統合という意味がもっと密になるわけだ。そのバージョンは、12カ月後に日本でもリリースできると思う。

――他社のLMSとは競合関係にあると理解していいのか。

ホール氏 他社は、競合していると思うかもしれない。われわれは、自社のテクノロジを利用したiLearningのパフォーマンス、拡張性、スケーラビリティ、インテグレーションも優れていると自信を持っている。

 ほかのLMSを提供している企業は、苦境にあると考えている。この世界も、数年後には5社程度に絞られることになると思う。もちろん、その1つがオラクルだと考えている。

――日本では、なかなかeラーニングが企業に浸透しないが、その理由をどう考えているか?

ホール氏 日本の企業がeラーニングを活用する際に焦点を当てるべきポイントが3つある。1つ目のポイントは、企業のエグゼクティブのコミットメントが明確であることだ。日本の経済をよくしたい、企業の業績をよくしたいという認識を企業のエグゼクティブが行う必要がある。eビジネスを行う第一歩としてeラーニングがあるという位置付けになると思う。しかし、それを推し進めるには、企業文化を変えようとエグゼクティブがコミットメントしなければならない。

 2つ目のポイントは、いいコンテンツを提供する必要があるということだ。しかも、ネットワークのパフォーマンスとコンテンツの内容のバランスをとる必要がある。昔ながらの修業研修の内容を、そのままeラーニングのコンテンツにすればいいというものではない。なぜかといえば、そのままオンラインに持っていくことは、オンラインが持っている特性や機能などを十分に生かし切れているとはいえないからだ。だからこそ、コンテンツは重要なわけだ。また、大人の学習では、毎回のコンテンツは16〜17分程度でないともたない(集中できない)という結果がある。それを念頭に置いて、どのような講義内容にするのかなどを考えて、しっかりとコンテンツを考えて作らなければならない。

 最後の3つ目のポイントだが、スケーラビリティ、ハイパフォーマンス、ハイクオリティでなければならない。われわれのiLearningでは、その条件を十分に満たしている。

――指摘した3つのポイントのうち、最初の企業のエグゼクティブのコミットメントが、一番難しそうだが。

ホール氏 そうでしょう。しかし、それが最も重要です。韓国や中国の方が変革に対して柔軟だと思う。当社のiLearningが日本の経済変革に貢献できたらと考えているが。

――シスコシステムズのCCNA試験が改訂され、シミュレーション問題が出され、レッドハット認定エンジニアでは、実技試験が課せられている。こうした動きについてはどう思うか?

ホール氏 米国では、ORACLE MASTERの研修で提供されているコースで、実際にデータベースを構築してもらうというテストがある。つまり、実技があるということになります。このコースを通過するには、データベースのバックアップ、リストア、チューニングを行えるということを証明しなければならない。このテストも含めて認定自体は、そうした方向にあり、オラクルも当然そうした方向に向いていると思う。

――IBMが、DB2グローバル・マスターという名称に変え、ORACLE MASTERを追撃しようとしているが、その動きをどうとらえているのか?

ホール氏 もし、彼らがわれわれのプログラムを真似ているのであれば、それはわれわれに対する賞賛だと思う。まず、彼らはまだ成功しているわけではない。ORACLE MASTERの取得者は7万人に達している。というわけで、IBMに対してこうした力強い味方がいるので問題はない。IBMが巨額のマーケティング費用をかけても、あまり結果は出ないかもしれないと思う。

[関連リンク]
オラクルの「Oracle iLearning」の発表資料

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