情報消費者に高度なインテリジェンスを、次世代SASシステム

2002/8/6

 SASインスティチュートジャパンは、8月1日、2日に都内のホテルで年次ユーザーカンファレンス「SUGI-J 2002」を開催し、その初日に新バージョン「SASシステム V9」のプレビューを行った。

 SASシステムは、SASインスティチュートの主力製品で、企業内にあるさまざまなデータへのアクセス、収集、蓄積から、データウェアハウスの構築、OLAPやデータマイニングなどのデータ分析、そして情報提供・配信などの情報系システム構築のためのソリューションを提供する統合型BIパッケージ。

 新バージョンとなるV9は、SAS初の日米同時リリースとなるが、2段階の市場投入が予定されている。まず2002年8月に、限定出荷版である「Evolutionary Release」(バージョン9.0)が投入され、その後、2003年第2四半期に完全版のバージョン9.1「Revolutionary Release」が投入される。

 バージョン9.0では、バージョン8.2のバグフィックスが行われたほか、マルチスレッド化などにより、さまざまなパフォーマンスの向上が図られている。

 まず拡張機能としては、SASシステムの基本となる「Base SAS」では本体でUnicode対応など国際化がサポートされ、ローカライズはロケールの変更で行うことが可能となった。

 そのほか、クロスエンバイロメントデータアクセス(CEDA)の搭載により、異なったプラットフォームで作成したデータをダイレクトに処理をする機能がサポートされた。インテグレーションテクノジーパブリッシャーの拡張点としては、SASシステムの出力をパブリッシュする際のチャネルとしてWebDAVが追加された。アウトプットデリバリシステム(ODS)では、DOCUMENTデスティネーションに新規対応し、アウトプットレポートを、いったん「DOCUMENT」と呼ばれる中間ファイル形式に保存することで、任意の形式にレンダリング可能となった。

 SAS/GRAPHでは、新しいグラフが16種サポートされ、SAS/ACCESSでは並列I/Oの向上のほか、ExcelやAccessのデータ読み込みが可能になった。また、ウィザード形式での操作が行えるEnterprise Guide 2.0が、Windows版に標準でバンドルされる。

 一方、新機能としては、アーキテクチャの面で「マルチベンダーアーキテクチャ」(MVA)をさらに発展させ「SASスケーラブルアーキテクチャ」という形に作り変え、さまざまな面でマルチスレッド化を進め、スケーラビリティ向上と高速化を実現している。

 このほか、従来プロダクト別だった管理を1つに集約するSASマネジメントコンソール(SMC)が用意される。プラグインによりサードパーティ製のアプリケーションも管理可能で、管理できる内容は、メンテナンス(ライセンス、インストール)、環境(メタデータ、サーバ、アプリケーション、ユーザーなどの管理)、ポリシー(権限、アクセス制御、リソース)、モニター(SASプロセス)の4つがある。

 メタデータに関しては、これまでシステムごとにビジネスメタデータを実装していたものを、共通化したオープンメタデータアーキテクチャ(OMA)とした。業界標準であるCWM(Common Warehouse Metamodel)の採用により、40社のデータモデリングツールとの間でメタデータの交換が可能となった。

 SAS/Warehouse AdministratorのJava版であるデータビルダー、スレッド化されたOLAPサーバ、Java版のEnterprise Minerなども登場する。

 一方、バージョン9.1に関しては、SASインスティチュートのビジネスインテリジェンスプラットフォームディビジョンのディレクター スティーブ・ジェニッシュ氏は、「ビジネスインテリジェンスを必要とするユーザーは“情報の消費者”に広がっており、情報の生産者からエンド・ツー・エンドのソリューションを提供するのがわれわれ使命」と開発の意図を語り、新しいレポートモデルの導入したレポーティングサービス、パーソナライズやアドホックな分析プログラムが利用可能なインフォメーション・デリバリ・ポータルなどについて説明を行った。

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SASインスティチュートジャパン

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