[eWEEK]
OASISの管理下に入ったUDDI

2002/8/9
August 5,2002 Darryl K Taft

 Organization for the Advancement of Structured Information Standards(OASIS)は先週、Universal Description, Discovery and Integration(UDDI)仕様の吸収に動き、Webサービス標準化団体トップとしての地位を確固たるものとした。

 この動きは、米マイクロソフト、米IBM、および米ベリサインがWS-Security(Web Services Security)仕様のOASISへの提出(これがほかの標準化団体の出鼻をくじいたと見る観測筋もいる)を決めた1カ月後のことだった。

 OASISではほかの標準化団体との密接な協力体制を維持しており、OASISとWWW Consortium(W3C)は今月後半にもWebサービスセキュリティセミナーを共催する。

 だが先週、UDDI.orgの作業グループが同仕様をOASISに渡すとしたこの判断は肯定的な反応を得た。

 米ZapThinkのアナリスト、Jason Bloomberg氏は、「OASISへの移行の動きは、標準としてのUDDIの発展の中で予想されていた、そして重要なステップの1つだ。だが、大半の作業が完了するまではベンダ各社が仕様を標準化団体に提出したがらないことに疑問の余地はないし、UDDIの場合もそうだった」と語った。

 米ノベルのディレクトリサービス担当チーフストラテジストでUDDIに専念するJustin Taylor氏は、「われわれは、UDDIがOASISに移行し、真の標準化団体に近いところの管理下に置かれることを明確に支持する」と語った。

 Taylor氏は、OASISは「“Web Services Interoperability Forum”のような肩書きは持っていないものの、Webサービスの標準化とサポートを促進しているし、過去にも活躍してきた」と語った。

 今回OASISの支援を得ることになったUDDIコミュニティの活動は、ビジネスや技術分野のトップ300人以上が参加して、企業やアプリケーションが素早く、容易かつダイナミックにWebサービスを見つけ出し、利用できるようにするための作業が主となる。

 2000年に発表されたUDDIは、台頭しつつあるWebサービスアーキテクチャの土台として、オープンで、プラットフォームに依存しない仕様の策定を目的としている。UDDI Business Registryは、企業がWebサービスを公開および検索できるよう、このUDDIプロジェクトの一環として設置された。

 UDDI.orgは、UDDI仕様のバージョン3を先週リリースした後に同仕様のOASISへの移行を発表した。IBMのUDDIプログラムマネージャで、UDDI Operators Councilの常務理事であるGeorge Zagelow氏によると、OASISへ引き渡すとの判断は、同組織の13社で構成される作業グループによる非公開の無記名投票によって下されたという。

 OASISのUDDI部会で新しい運営委員長に就任するZagelow氏によると、同グループは、合計8つある団体の中からOASISを選択したという。同氏はほかの団体名の公表については控えている。

 Zagelow氏は、「OASISにはわれわれにとって非常に都合のよい特徴があった。その1つが、同組織ではメンバー部会を素早く設置し、既存の組織をそのまま動かすなど、自分たちが好きなように組織できる点だった」と語った。

 OASISの会長兼CEOであるPatrick Gannon氏によると、同組織はWebサービス分野のリーダーとなるべく、かなりの根回しを行ったという。

 Gannon氏は、「(UDDIをOASISの管理下に置くことは)自然なことだと思う。われわれはWebサービス分野でさまざまな活動を行ってきた。eビジネス分野における標準の定義や、Webサービス分野におけるセキュリティなどに関しては以前から力を入れている」と語った。

 Gannon氏によると、UDDIの動きと、WS-Securityの構想に関しては、Webサービス関連のOASISの活動が「目に見える形」で推移しているものの、同団体が取り組んできたのはXMLにフォーカスしたe-ビジネス標準の「基盤作り」だという。

 IBMのZagelow氏によると、今回の移行はUDDIプロジェクトのもともとの趣意に定められた目的を達成するものだという。既存のビジネスレジストリは、今後もレジストリオペレータによって公開される。

 OASISの関係者によると、UDDI仕様のバージョン3は、セキュリティ機能を高め、Web Services Description Language(WSDL)サポートを強化し、マルチレジストリトポロジーと、UDDIユーザーがサービスやUDDIレジストリに関する変更の通知を受けられるようにする新しい購読APIをサポートしているという。

[英文記事]
UDDI Spec Now Under OASIS

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