[Interview]
サイベース、パートナー戦略とインテグレーションを加速

2002/8/22

 今月初めに、カリフォルニア州サンディエゴでカンファレンス「TechWave 2002」を開催したサイベースは、パートナー戦略とコア・テクノロジに注力する新しい戦略を打ち出している。同社会長兼社長兼CEOのジョン・チェン(John S. Chen)氏と、シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャ兼エンタープライズソリューション担当のラジ・ネイサン(Dr. Raj Nathan)氏に話を聞いた。


米サイベース 会長兼社長兼CEOのジョン・チェン氏

── いままでのサイベースと違って、今回はパートナー戦略を強く打ち出している。

チェン氏 その通りだ。アプリケーションベンダをはじめとするパートナーとの提携は重要な戦略だと考えている。今回発表したPeopleSoftとのパートナーシップをはじめとして、ドキュメンタム、インターウォーブン、インフォマティカ、ブリオ・ソフトウェアなどとパートナーシップを結んでいる。あるGISベンダとのパートナーシップも発表予定だ。

── 日本市場をどう見ているか。

チェン氏 日本市場は確かにここのところ困難な経済環境にあった。しかし、もう少しで底を打ち、今後は回復基調に入るのではないかと考えている。

── 日本は金融機関の統合などが起こっており、今後もこうしたことが続きそうだ。金融市場に強いサイベースはこれについてどう考えているのか。

チェン氏 日本の市場で規制緩和が行われ、さまざまな金融機関の統合が行われているが、これは、米国では数年前に、台湾でも昨年来起きていることだ。サイベースはそうした市場の変化をすでに日本以外で経験している。多くの金融機関ではレガシーなシステムがまだ使われており、技術的にも経済的にも彼らはそれをやすやすと手放すことはできない。金融機関が統合される場面でこうしたシステムも統合されることになるだろう。我々のインテグレーション技術はこうしたことにも十分に対応できる。弊社にとってはチャンスだと考えている。

── 開発ツールについてあまり話題が出ていない。新しい戦略の中で、開発ツールの位置付けはどうなっているのか?

チェン氏 基調講演では少ししか触れなかったが、サイベースの掲げるインテグレーション戦略の中で、開発ツールの重要性は非常に高い。我々はPowerBuilderをさらに強化していくとともに、Windows CE用の開発ツール「PocketBuilder」や、Visual Basicのアプリケーションをモバイル上で動作させるツール、ポータル開発ツールの「PortalStudio」などを発表している。確かに基調講演ではスライド1枚だけしか開発ツールについて触れなかったが、重要さに変わりはない。

── サイベースはデータベースだけでなく、モバイル、アプリケーションサーバ、インテグレーションサーバなど、幅広い製品を提供するベンダになった。その一方で、コア・テクノロジと呼ばれるものがなくなってきていないか。

米サイベース シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャ兼エンタープライズソリューション担当のラジ・ネイサン氏

ネイサン氏 サイベースのラインナップでは、データベースサーバ「Adaptive Enterprise Server」から、ミドルウェアの「Enterprise Application Server」や「e-Biz Integrator」そしてモバイルまで、プラットフォームとしてあらゆるレイヤをカバーできる。これが現在のサイベースの強みだが、特にコア・テクノロジということであげれば、データマネジメントとモバイルだといえるだろう。今後もここをコアにしてさまざまなシステムが展開されることになるはずだ。

── サイベースの意識する競合はどこか? そしてそれに対する優位性はどこにあるのか?

ネイサン氏 例えばIBMは「WebSphere」を持ち、EAIツールのCrossWorldsを買収するなどラインナップを揃えている。それぞれの製品は優れているかもしれないが、それらはばらばらで、1つのプラットフォームのように統合されているとはいえない。一方、サイベースのラインナップは統合されており、例えばすべての製品をまとめて1枚のCDに入れて提供することができ、それぞれの製品は最初から1つのプラットフォームのように連携して稼働する。この、製品が統合されている、というのが強みの1つだ。

 同時に、サイベースのプラットフォームはモジュール構造になっているところも大事な点だ。OracleやDB2などマルチベンダが混在する環境でも、レプリケーションサーバやインテグレーションサーバなどのサイベース製品は性能を発揮できるできるように設計されている。こうしたオープン環境に対応するのもサイベースの大きな優位性だといえる。

(編集局 新野淳一)

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