インテルのモバイル戦略は、「Banias」とベンチャー支援の両輪で

2002/8/30

モバイル事業戦略を説明するインテル日本法人の代表取締役社長 ジョン・アントン氏。説明会にはインテルのモバイル関連の担当者が新型プロセッサを中心とするモバイル戦略を説明した

 インテルは8月29日、同社が来年2003年に市場に投入予定の省電力のモバイル専用プロセッサ「Banias」(開発コードネーム)を、プレス向けに国内で初めて公開した。インテル 代表取締役社長 ジョン・アントン氏は、Baniasについて、「モバイルの活用はビジネスの生産性と生活の質を高める」と述べ、新型プロセッサ投入の意義を語った。

 同社はさらに、Baniasをスムーズに離陸させるため、インテルはモバイル技術開発のベンチャー企業への投資を本格化させることも発表した。これは、画期的な技術をベンチャー企業に開発させることで、インテルのモバイル事業を補完させ、市場自体を活発化させることを目的としているもの。

 Baniasは、ノートPCのバッテリ持続時間を従来より長くする新型プロセッサとして期待されている新型プロセッサ。サブノートなどで採用が増えている米トランスメタのプロセッサがライバルだという。

 インテルのモバイル事業戦略のポイントは、高い処理性能と長いバッテリ持続時間、セキュリティを確保したワイヤレス接続機能、軽量、薄型など使いやすい本体デザインを実現すること。ノートPCが現在抱えている問題点を解決することが最終目的という。

 同社はさらに、「エクステンディド・バッテリ・ライフ・イニシアティブ」と呼ばれるバッテリ持続時間を長くするための指針を決定し、プロセッサやチップセットの省電力化技術の開発を進めている。省電力ディスプレイや新型バッテリなど、キーとなる技術を開発する企業には、インテルが技術サポートを行っている。今回のベンチャー企業への投資もこの一環となる。

 インテルが最近、重点的にサポートしている投資先企業は、ワイヤレスLANのセキュリティ技術を開発しているベンチャーの米NOMADIXや米bluesocket、ローミング技術を開発している米STSN、米iPass、ノートPC用燃料電池を開発している米PolyFuelなど。いずれも新技術が実用化されればノートPCの利便性が上がり、市場が拡大する可能性がある。特に米PolyFuelのノートPC用燃料電池は、実現すれば充電せずに3日連続でノートPCが利用できるようになるなど、ノートPCの利用形態を大きく変える可能性がある。

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