キラーサービスになるか、IIJが中堅企業向けの新サービス

2002/9/3

インターネットイニシアティブ 代表取締役社長の鈴木幸一氏。電力系通信会社パワードコムとの経営統合作業については、「大変順調」と述べた。が、パワードコムの筆頭株主、東京電力の原子力発電所でのトラブルに関連して、「トップが交代するなどパワードコムとの統合に影響があるかもしれない」と語った

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は9月2日、ウイルスチェックと内部文書の流出を防ぐことができる中堅企業向けの新サービスを、11月上旬に始めると発表した。IIJ代表取締役社長の鈴木幸一氏は「ウイルスチェックなど企業の電子メール管理は高コスト。電話を通信会社に任せるように、このサービスもIIJのような専門企業に任せてほしい」と語った。

 新サービスの名称は「IIJ Mail ゲートウェイサービス」。同様のサービスとして、電子メールアカウントが1000以上の大企業向けに今年3月に開始していた。今回は中堅企業向けということで、1アカウントからサービスを提供できるようにして基本料金も引き下げた。

 IIJ Mail ゲートウェイサービスは、ウイルスチェックとメール監査を提供する。このサービスはメールサーバを自社で運営している企業向けで、IIJのiDCにゲートウェイを設置して、ここを企業が送受信する電子メールが通るようにすることで実現している。

 ウイルスチェックはトレンドマイクロの「InterScan VirusWall」を使用している。送受信ともに対応し、ウイルスのパターンファイルは常に最新バージョンが使用されるという。

 メール監査は、企業から送信される電子メールの内容をチェックして、社外秘の内容が書かれた電子メールなど、企業の内部情報を外部に流出することを防止する。「開発中」「持ち出し禁止」などのキーワードを設定しておくことで、これらのキーワードが含まれる電子メールの送信をゲートウェイでブロックする。電子メールの添付ファイルや圧縮されたファイルのチェックも可能だ。

 ゲートウェイサービスのウイルスチェックとメール監査を利用した場合の基本料金は月額5万円。50アカウントまでは基本料金だけで利用できる。ウイルスチェック、メール監査を別々に契約することも可能だ。

 IIJはまた、自社でメールサーバを設置、運営していない中堅企業向けに、メールホスティングサービス「IIJ ポストオフィスサービス セーフティ」を11月上旬に始めることも発表した。以前から提供してきた「IIJ ポストオフィスサービス スタンダード」に新機能を追加する。標準でウイルスチェックサービスを利用でき、電子メールの送信時のSMTP認証や、送受信時にメールを暗号化するPOP/SMTP over SSLに対応するのが特徴の1つ。キーワードを設定して受信したくないメールをサーバで削除する「メールフィルタ」機能も利用できる。

 IIJ ポストオフィスサービス セーフティは月額の基本料金は1万円。基本料金で10アカウントまで利用でき、1万アカウントまで対応している。

 企業にとって内部の情報漏えいは、社運を左右しかねない大問題だ。簡単な操作で重要な情報を外部に送信できる電子メールは便利な反面、危険なツールでもある。IIJ企画開発部開発課長の近藤学氏は、「メール監査は最も企業の注目を集めているホットな分野」と話し、他社のサービスとの差別化になるとの考えを示した。鈴木氏も「大小問わずにあらゆるレイヤーの企業のメールの課題を解決する」と、新サービスのメリットを語る。

 IIJはIIJ MailゲートウェイサービスとIIJポストオフィスサービス セーフティで、それぞれ年間500社の受注を目指すという。

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IIJの発表資料

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