半導体メモリを使ったディスク装置、日立システムが販売

2002/9/4

 日立システムアンドサービス(日立システム)は、半導体メモリを使うディスク装置(ソリッドステートドライブ、SSD)を開発した米プラティパステクノロジーと提携し、日本での販売を本格化させると発表した。通常のハードディスクドライブ(HDD)と比較して数百倍の速度でデータのアクセスができるSSDを組み込んだソリューションを、ERPやCRMなどの導入を考えている企業システム向けに売り込む。日立システムは、今後2年間で50億円の売り上げを見込む。なお、同社では、NTTデータなどの大手システムインテグレータとも協業して販売していく考えだ。

提携を発表した日立システムアンドサービスの専務取締役 和田弘正氏。「高性能が要求されるSAN(Storage Area Network)環境が広がっている。ソリッドステートディスクはかなりの部分を占めるようになるだろう」と予測した

 米プラティパスの製品は、国内ではすでにデジベリーが輸入し、ウィンドウが販売しているが、日立システムでは、システム構築などのソリューションを含めて販売していくという。日立システムの専務取締役 和田弘正氏は「磁気ディスクは開発されてから50年以上たった。市場は新しいストレージデバイスを求めている」との認識を示した。

 同社がターゲットとしているのは、主にERP、CRMを新たに導入しようと考えている企業だという。ERPやCRMなど大規模なシステム分野では、CPUの速度が向上しているものの、HDDのI/O速度がボトルネックとなり、システム全体の速度も低下することがある。そのため、SSDを導入することで、システム全体のパフォーマンスを向上させることができるという。

 日立システムが販売するのは、米プラティパスが開発した最大16GBまでデータを保存できるSSD「QikDATA X3」と、QikDATAを最大8台接続してSAN(Storage Area Network)を構築できるファイバ・チャネルスイッチの「QikLINK」の2製品。

 QikDATA X3は、2001年10月に米プラティパスが発表した製品で、HDDが通常150 IOPS(1秒当たりのデータ処理回数)が限界といわれる中、4万 IOPSを実現できる。PCとは専用のインターフェイスを使って接続し、OSからは外部のSCSIドライブとして認識される。通電していないと記録が消える半導体メモリを使っているため、ミラーリングされたバックアップ用HDDや二重化したUPS(無停電電源装置)を内蔵している。なお、処理速度は今後も向上させる考えで、米プラティパスは来年末には現在の2倍の処理速度にするとしている。

SAN構築用のファイバ・チャネルスイッチ「QikLINK」。QikDATA X3を8台まで接続できる

 QikLINKはQikDATA X3を最大8台、128GB分まで接続できるSAN構築用のファイバ・チャネルスイッチ。今月発表したばかりの製品で、SANを必要とする大規模データベースに利用する。

 メリットばかりのようだが、価格面での課題がある。QikDATA X3、QikLINKはオープンプライスだが、日立システムによると8GBのQikDATA X3とQikLINKを接続して使う場合、約1300万円かかるという。データのミラーリングやUPS、全体の高速化などでコストがかかることは予想できるが、8GBの容量で1300万円、と聞くと導入をためらう企業が多いのではないだろうか。

 日立システムも価格の問題について認識しており、将来的にはデータ容量を小さくし、価格を現在の半額程度に抑えたシステムを販売する考えだ。その場合、システム全体をSSDに置き換えるのではなく、データベースなど負荷がかかりやすく、アクセス速度が低下する傾向のある個所でSSDを使用していきたいと説明する。

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日立システムアンドサービスの発表資料

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