息を吹き返したPHS、AirH"の今後の法人戦略は?

2002/9/6

 DDIポケットは、加入が伸びているPHSの定額制データ通信サービス「AirH"」を生かした法人向けデータ通信市場の開拓を本格化させる。PDA向けなどAirH"用のカード端末を2機種発表。無線LANサービスへの展開も視野に入れるなど、PHSはデータ通信で完全に息を吹き返した格好だ。

DDIポケットの取締役営業本部長 土橋匡氏はAirH"を活用した企業イントラネットの構築について、「DDIポケットが用意したプラットフォームを使うことで企業は設備投資を大きく削減できる」と述べた。右手に持っているのは年内に発売するSDメモリタイプのAirH"データ通信カード

 DDIポケットは、9月5日に事業説明会を開催した。DDIポケットの取締役営業本部長 土橋匡氏は、今後の法人向けデータ通信市場について、「企業内でAirH"を活用したイントラネットを安価で早期に構築できるパッケージ型のソリューションを始める」と述べた。

 サービスの開始は今秋を予定し、通常は顧客企業が自社で用意するAirH"用のルータやサーバをDDIポケットの設備を利用させることで、初期導入コストやバージョンアップ時の負担を少なくする。顧客企業は安価な投資でAirH"を使ったイントラネットを構築できるようになる。DDIポケットは法人のデータ通信市場をターゲットに、システム会社との協業を進めている。今年に入ってから、すでにCSKやコンパックコンピュータ、東芝情報機器、シトリックス・システムズ・ジャパンなどと提携した。

富士通が開発したUSBインターフェイス接続タイプの通信デバイス。USBを採用することでデスクトップPCでもAirH"を利用しやすくした。今秋にも発売する

 さらに同社は、AirH"用データ通信カードの今後の機種展開についても発表を行った。DDIポケット向けのPHS製品を初めて投入する富士通は、PCのUSBインターフェイスに接続するAirH"用データ通信デバイスを、今秋に発売する。これにより、PCカードスロットに余裕のないノートPCやデスクトップPCでもAirH"を利用できるようになる。そのデバイスは、「ポケットに入れれば、どこに入れたのか忘れるくらい小さい」(土橋氏)という。また、マッキントッシュにも対応し、新たな需要を掘り起こす。

 セイコーインスツルメンツ(SII)が9月5日に発表したAirH"用データ通信カードは、PDAなどのSDメモリスロットに接続するタイプ。企業が外回りの営業などに持たせることが多くなったPDA向けのデータ通信カードとして利用が見込まれている。発売は年内を予定している。

 DDIポケットの取締役技術本部長 近義起氏は、こうした新機種の投入や法人向けソリューションの開発により、7月末で110万弱のDDIポケットのデータ通信利用ユーザー数を、「来年3月には130万人まで増やしたい。2004年3月に200万人まで増加させるのが目標」と語った。

 そのほか、同社は公衆無線LANサービスへの参入も検討していることを明らかにした。親会社のKDDIが実験している無線LANサービスとAirH"を組み合わせる考えのようだ。ユーザーはホテル内などのホットスポットでは高速な無線LANサービスを利用し、無線電波が届かない街頭ではAirH"でインターネットに接続する。

 すでにAirH"と無線LANの両方の機能を搭載した一体型データ通信カードを開発中で、サービスが実用化されれば投入する考えだ。DDIポケットの取締役経営企画本部長 喜久川政樹氏は、無線LAN参入について「様子を見て検討している段階」としながらも、「AirH"と補完的な関係のサービスなら前向きに考える」と述べた。

 ワイヤレスの定額制ネット接続サービスとして、AirH"は定着しつつあるといっていいだろう。インフラが出来上がったところで次に問われるのは、どう活用するかということ。イントラネットでの利用や無線LANなどソリューションが確立できれば、法人利用の増加が見込める。

(垣内郁栄)

[関連リンク]
DDIポケット
セイコーインスツルメンツの発表資料

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