デルとEMCの共同ブランド製品で、他社との戦いを有利に

2002/9/10

EMCとの共同ブランドによる最上位のストレージ製品「Dell|EMC CX600」

 デルコンピュータの一挙手一投足は、ライバルベンダでなくとも興味をひかれるに違いない。9月6日、帝国ホテルで開催された同社の記者発表会は、前日から降り続ける激しい雨に見舞われながらも多数の参加者を集めた。

 発表会の骨子は、EMCとの共同ブランドによる最上位のストレージ製品「Dell|EMC CX600」のお披露目。3年間の保守サービスを含め、約1400万円からの価格で提供する。デルにとっては、ミッション・クリティカルな大規模基幹システム構築のニーズを満たす戦略製品であり、EMCにとっては世界のサーバベンダ中「勢い」では最高峰のデルの販売力を利用することができる。

 そもそも両社の戦略的な提携は2001年末に、10億ドル程度のビジネス規模を想定して結ばれた。デル独自のビジネス・モデルにEMCのテクノロジを融合させ、サーバ市場での存在感をさらに高める狙いがあった。トップランナーであるIBM、HPの息が切れかけたように見える現在のサーバ市場において、彼らを追撃しているデルの姿は確かに勢いがある。両社の提携は今後10年間継続して行われる予定で、ストレージ管理ソフトウェアの開発、ストレージ統合やネットワーク・ストレージ構築をサポートする検証作業センターの設立などで協力体制を敷いていく予定となっている。

 今回発表された新製品は、2ギガビットの高速転送を可能にするファイバチャネル・ストレージ・アレイである。ストレージ・プロセッサごとにCPUを4基搭載し、ディスク容量は、最大17.5テラバイト(TB)まで拡張が可能。無停止バックアップを行うソフトウェア「Snap View」と、地理的に離れた場所でデータの複製を行う「Mirror View」で、24時間365日の稼働を目指す。

 製品の性能は非常に重要な要素だが、それよりも重要なのは、あるいはデルにとって重要なのは、コンサルティングや保守といった付加価値サービスにある。付加価値サービスこそ、利益確保の源泉であり、他社の最大の差別化要因でもある。常にコストを削減し続け、製品のコストパフォーマンスをギリギリまで高めたとしても、現状のサーバ市場において大きな利益を確保することは難しい。

 システム構築にあたって、デルではコンサルティング事業部であるデル・テクノロジ・コンサルティング(DTC)が単一の窓口となる。EMCとの協力で顧客のデータベース・システムに対するニーズのヒアリングを行い、システム・デザイン、検証作業、構築、導入後のサポートなどの進行を管理する。また、保守サービスは、「テクニカル・アカウント・マネージャ」がコーディネーションを行いながら、サポートしていく。

 イーエムシージャパンの代表取締役社長 スティーブン・フィッツ氏の期待も、デルのコンサルティングを含めた総合的な販売力にあるようで「デルの強力な直販モデル、そしてサポート、コンサルティング力により、幅広い顧客層で今回の新製品が受け入れられると確信している」と話した。

(編集局 谷古宇浩司)

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