必死になるMS、ノーツ/ドミノの移行ツールを無償配布

2002/9/13

 マイクロソフトは、グループウェアのノーツ/ドミノユーザー向け移行ツール「Active Directory Converter for Lotus Notes」を、9月12日から無償で提供すると発表した。ノーツ/ドミノのディレクトリ情報を「Microsoft Active Directory」に移行することができる。移行ツールを無償提供することで、ノーツ/ドミノを使っている企業ユーザーを、Active Directory、Exchange 2000 Serverなど、マイクロソフト環境に引き込むのが目的。マイクロソフトはパートナー企業を組織するなど、ユーザー獲得に躍起になっている。

マイクロソフトの取締役エンタープライズビジネス担当 鈴木和典氏。「企業によるマイクロソフト製品への信頼度が上がってきた」と述べ、「ツールの提供をきっかけにノーツ/ドミノからの移行が進む」と強気の発言

 マイクロソフトの取締役エンタープライズビジネス担当 鈴木和典氏は、ノーツ/ドミノユーザーが直面している問題として「蓄積したデータが多すぎて必要なデータが見つからない、完全なシングルサインオンが利用できず管理が難しい、システム間連携が容易でない、Web化ができず、開発生産性が低い」などと指摘する。

 さらにノーツ/ドミノの中でも利用者が多いといわれるR4.6のサポートが、来年1月末に終了することから、「ユーザーの間で大きな問題になっている」と述べた。マイクロソフトはこれをチャンスととらえ、新たに組織した移行推進のパートナー企業20社とともに企業に営業する。

 無償で配布する移行ツール「Active Directory Converter for Lotus Notes」は、ノーツ/ドミノの漢字アドレス帳やユーザーデータなどのディレクトリ情報をActive Directoryに簡単に移することができる。これまでノーツ/ドミノを使っていた企業でも、すぐにActive Directoryでシングルサインオンが可能になるという。ディレクトリ情報はXMLファイルとして出力することもでき、SQL Serverでデータベースと連動させて使うことが可能だ。

 マイクロソフトはExchange 2000 Serverで、ノーツ/ドミノのディレクトリ情報やメール、カレンダーなどのデータを移行させるツールを用意していた。だがActive Directoryのみを導入している企業も多く、今回配布するツールで対応することにしたという。

 また、マイクロソフトはActive Directoryなどと連携させることができる在席管理ツール「Microsoft PresenceBoard for .NET Framework」も、9月12日に無償提供を開始した。10月にはノーツで作成したアプリケーションを、.NetのWebアプリケーションに移行させるためのツールも配布する。さまざまなツールを用意することで、スムーズに移行できることを企業に印象付ける。ツールはマイクロソフトのWebサイトでダウンロードできる。

 他社製品からの移行を勧める際に、よく使われる手法がツールの無償提供。マイクロソフトが必死になっている証拠ともいえるが、移行が簡単というだけでは企業の動機付けになるか疑問もある。ノーツ/ドミノに対して機能や価格での優位点も必要になるだろう。

[関連リンク]
マイクロソフトの発表資料
ノーツ/ドミノユーザー .NET移行支援サイト

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