NTT東日本、トレンドマイクロと組みセキュリティで攻勢開始

2002/10/1

 NTT東日本はトレンドマイクロと提携し、フレッツADSL、Bフレッツユーザー向けにウイルス対策や不正アクセス対策を提供する新サービス「フレッツ・セーフティ」を10月1日に始めると発表した。トレンドマイクロのセキュリティルータ「Web Caster GateLock X200」をPCに接続することで、ユーザーはソフトのインストールやメンテナンスなしでセキュリティ対策を行うことができる。

トレンドマイクロの代表取締役社長CEO スティーブ・チャン氏はフレッツ・セーフティについて「NTT東日本とトレンドマイクロにとって新しい赤ちゃんのようなサービス」と表現した

 トレンドマイクロの代表取締役社長CEO スティーブ・チャン(Steave Chang)氏はフレッツ・セーフティについて「NTT東日本とは昨年のクリスマスから研究を続けてきた。NTT東日本との協業は当初、巨大な像とダンスをしているようだったが、フレッツ・セーフティの開発では、NTT東日本から情熱やベンチャー精神、品質へのこだわりを感じた」と協業の印象を述べた。

 今回のサービスはホームユース対象。NTT東日本はこれまで、通信事業者としてインフラの提供が主な事業だったが、フレッツ・セーフティの開始でサービス提供の側に一歩踏み出すことになる。メールのウイルスチェック・サービスを提供するISPは多く、フレッツ・セキュリティはISPに対する脅威になる可能性もある。NTT東日本は、GateLockを年間8000台販売することを目標としているが、NTT東日本のサービス開発部フレッツサービス推進室長 堺紀雄氏は、「フレッツのユーザーの半数以上に利用してもらいたい」と強気だ。

 フレッツ・セーフティはトレンドマイクロが開発したGateLockをADSLモデムとPCの間に接続し、外部からのウイルス侵入や不正アクセスをブロックするサービス。NTT東日本の地域IP網上にフレッツ・セーフティ専用サーバを設置して、6時間ごとにウイルスの新しい定義ファイルを自動的にチェックする。ユーザーはソフトのインストールやアップデート作業が不要で、確実なセキュリティを確保できるという。

NTT東日本が発売するセキュリティルータ「Web Caster GateLock X200]

 フレッツ・セーフティの利用料は、GateLockの価格が1万5800円。月額利用料はPCを1台接続する場合は300円で、2台以上5台まで接続する場合は500円。GateLockは当初はNTT東日本を通じて直販するが、販売店での販売も検討する。トレンドマイクロは昨年12月から、GateLockを販売して同様のサービスを提供してきたが、今回のフレッツ・セーフティでは、フレッツ・セーフティ用にカスタマイズしたうえで、ウイルス定義ファイルのアップデートの更新頻度を向上させ、価格も下げた。

 NTT東日本は今後、フレッツ・セーフティを中小企業やSOHO向けにも提供する予定。GateLockに接続できるPC数を増やしたり、現行で約10Mのスループットを向上させたりして、半年をめどにサービスを始める。

 セキュリティアプライアンス市場は、大企業向けがある程度行き渡ったこともあり、現在は中小企業向けにさまざまなベンダが参入して激戦となっている。フレッツというインフラを握っているNTT東日本がセキュリティ市場をどう攻めるのか。トレンドマイクロのように協業することができれば力強い味方だが、ライバル関係になれば手ごわいだろう。

(垣内郁栄)

[関連リンク]
NTT東日本の発表資料
トレンドマイクロの発表資料

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