「消しゴムの上にスパコン」、IBMが世界最小の演算回路を試作

2002/10/26

ドミノ倒しのように分子が倒れていくことで計算する世界最小のコンピューター回路のSTM画像

 米IBMは同社のアルマデン研究所が従来の約26万分の1にあたる大きさのデジタル論理素子を用い、世界最小のコンピューター回路を試作したと発表した。分子をドミノ倒しのように動作させる「分子カスケード」という新技術を活用。極小のデジタル論理素子の動作に成功したという。

 分子カスケードは、銅の表面に一酸化炭素の精密なパターンを形成し、1つの分子を動かすとドミノ倒しと同じように、別の分子に動きが伝わり、連鎖的に全体が動くという性質を活用した。倒れたドミノが論理的に“1”で、倒れていないドミノが“0”などというように計算。IBMは、分子の流れを複雑に組み合わせることで、デジタルの論理機能のOR、ANDの演算、データの格納と読み出し機能を実現し、演算回路として機能させることができることを実証した。

 今回の試作の中で、最も複雑な回路は12×17ナノメートル。これは鉛筆の先端につけられた直径7ミリメートルの消しゴム上に、約1900億個の回路を搭載できる大きさという。日本IBMは「サイズだけをみれば、消しゴムの上にスーパーコンピューターを置くのと同じ」と説明している。IBMでは今後も開発を進めて、次世代チップにつなげたい考えだ。

 ただ、今回、IBMが試作した回路は演算後にリセットする機能がないため、計算が実行できるのは1度だけ。また、分子カスケードは、超高真空・低温走査トンネル顕微鏡(STM)を使って、1度に1つの分子を動かすことで作っているため、複雑な回路を組み立てるには数時間かかるという。IBMでは電子スピンなどほかの作用を利用して、通常のコンピューター回路と同じように短時間に計算を繰り返して行えるようにするという。米IBMのサイトでは分子がドミノ上に倒れていく3D動画を見ることができる。

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