「次の波はグリッド」、インテルが新戦略

2002/12/10

米インテルのワールドワイドHPC インダストリ・マネジャ リック・ハーマン氏

 米インテルのワールドワイドHPC インダストリ・マネジャ リック・ハーマン(Rick Herrmann)氏は低コストでスーパーコンピュータ並みの処理能力を実現できるクラスタ接続のHPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)について、「ライフ・サイエンス分野が新たな注力分野だ」と語り、パートナー企業などとの研究開発を促進する考えを示した。

 ライフサイエンス分野ではゲノム分析をはじめ、タンパク構造など膨大な演算処理が必要になる。バイオテクノロジ、ナノテクノロジが産業として世界中で広がるのに伴い、新規参入する企業が増え、超高速のコンピュータが必要とされていた。米IDCは2001年から2006年までのライフ・サイエンス分野の市場規模は年間24%の成長率で、2006年には380億ドルになると予想している。

 インテルはIAベースのコンピュータをクラスタ化して利用することを研究している。特にライフ・サイエンス分野での利用に注力。IAベースシステムの利用を促進するために社内に研究委員会を組織して、米デューク大や米ノースカロライナ大、米ハーバード大などの生物情報学プロジェクトに資金供与している。インテルの投資部門、インテル キャピタルもライフ・サイエンス分野への投資を広げているという。ハーマン氏は「日本でもライフ・サイエンス分野の研究開発パートナーを探している」と述べた。

 インテルはクラスタ接続のHPC開発で蓄えたノウハウをグリッド・コンピューティング分野にも投入する方針。「次の波はグリッド・コンピューティング」(ハーマン氏)という認識で、Itaniumベースのグリッド・コンピュータの開発を続けている。IAベースのグリッド・コンピュータは医薬品開発や癌(がん)治療研究などですでに導入されていて、ハーマン氏は「グリッドはすでに現実の投資対効果を生んでいる」と説明した。

 ハーマン氏は「IAベースのクラスタは、素早く、継続的にパフォーマンスをスケールアップすることができる」と述べ、最上位を除き、ほとんどのスパコンがクラスタ接続やグリッドのHPCに置き代わるとの考えを示した。

(垣内郁栄)

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