「アジア製ウイルスに強い」、中国製対策ソフトが初上陸

2003/1/21

 ハードウェアと同様に、ソフトウェアでも中国製が存在感を増すことになるのだろうか。玩具の企画、開発などを行うデジターボは、中国でトップシェアのコンシューマ向けセキュリティソフト「ウイルスドクター」を4月4日に発売すると発表した。アンチウイルスとパーソナルファイアウォールの機能があり、初年度で20万本の販売を見込んでいる。急増しているアジア製ウイルスに強く、即効性が期待できるという。

「ウイルスドクター」のイメージキャラクターとしてテレビCMに出演するタレントの乙葉さん。「CMを通じてウイルスのことを真剣に考えてほしいな!」とコメント

 ウイルスドクターは中国の北京江民新科技術有限公司が開発したセキュリティソフト「KVシリーズ」を、日本語にローカライズした製品。日本のユーザーに合わせて、インターフェイスを分かりやすくしたという。ウイルスドクターのアンチウイルス機能は、アジアを中心に過去のウイルス定義ファイルを7万件以上登録していて、未知のウイルスでも即時に検出し、駆除できるのが特徴。新しく登場するウイルスに対しては、パターンファイルをデジターボのサーバからダウンロードして更新できる。

 パーソナルファイアウォール機能はネットワーク上のデータを常時監視して、不正アクセスやPC内部からの不正なデータ送信をブロックする。3段階のセーフレベルを用意して、初心者でも簡単に利用できるという。

 北京江民新科技術有限公司の董事長 王江民氏はウイルスドクターについて「豊富な機能と分かりやすいインターフェイスで日本のユーザーに受け入れられると確信している。1年後に日本のセキュリティソフトでベスト3に入ることを期待している」と述べた。日本での競合製品については「他社の製品は米国など欧米製がベース。ウイルスドクターはアジアで生まれたソフトで、アジア製ウイルスに対する定義ファイルが他社製に比べて豊富だ」として、“アジア生まれ”を強調した。

 デジターボの代表取締役社長 小坂崇気氏は中国製ソフトについて「中国製は生産コストが安いだけというのが日本での認識だが、ソフトのクオリティも向上している」と説明。ウイルスドクターの販売価格を4980円と、他社のセキュリティソフトと変わらない価格に設定することで低価格戦略ではなく、高機能をアピールする考えだ。

 だが、日本のエンドユーザーが、すでに利用している他社のセキュリティソフトからウイルスドクターに乗り換えるだけの要素は、ウイルスドクターの機能からは見つけにくい。デジターボはタレントを起用したテレビCMなど派手な宣伝戦略で初心者ユーザーを取り込む考えだが、競合製品に立ち向かうには思い切った低価格戦略や、日本独自機能の追加も必要になるかもしれない。

(垣内郁栄)

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