「コストは日本の3分の1」、急成長する中国ソフト産業の現状

2003/1/31

 「世界の工場」として製造業に注目が集まる中国。だが、首都北京ではソフトウェア産業が急速に発展しているという。日本のソフトベンダが中国のベンダに、ソフト開発をアウトソーシングするケースも増えている。中国はソフトウェアの分野でも日本の強力なライバルになるかもしれない。北京市政府と北京市科学技術委員会が開催したイベント「北京ソフトウェア産業フォーラム」でその現状が説明された。

 北京ソフトウェア産業促進センターのセンター長 姜広智氏は中国のIT産業全体と、ソフト開発における北京の優位点について説明した。ハードウェアの製造に注目が集まることの多い中国だが、急速に発展しているのが、ソフト開発の分野。IT産業に占めるハード開発の割合は1999年が87%で、ソフト開発が8%だった。だが、2004年にはハードが74%になり、ソフトが39%に上昇すると予想されるという。姜氏は中国の目標として「自己開発した技術を所有するソフト強国を目指す」ことを挙げた。2005年までに国全体でソフトの市場規模を300億ドルにする、ソフト輸出を50億ドルにすることなどを具体的な目標にしているという。

 姜氏によると中国で最もソフト開発が進んでいるのは北京。インターネット利用者が多いことや、多数の大学があり、多くのソフト開発者がいること、欧米や日本の主要IT企業が現地法人を設立していることが、ほかの都市に対して競争力を高めている。北京でのソフトの販売額は250億元を超えて、上海や広東などを引き離しているという。姜氏は「北京のソフト産業は中国全体の30%以上を占める」と説明した。

中訊ソフトウェアグループ総裁の王緒兵氏

 中国では、日本を含め海外からのソフト開発のアウトソーシングも重要なビジネスになっている。北京のソフトベンダ、中訊ソフトウェアグループ総裁の王緒兵氏によると、同社は「日本企業からのソフト開発受託が売り上げの90%以上」で、1998年にはNECソフトと合弁で日本法人、日本中訊も設立した。

 王氏によると日本国内の企業が北京のソフトベンダにソフト開発をアウトソーシングした場合、開発コストは「日本の3分の1になる」という。日本からのアウトソーシングが増えていることや中国政府が奨励していることなどから、日本企業からソフト開発を受託することに人気が集まっていて、ソフト開発の人材も北京に集中し始めているという。海外企業の業務を引き受けることで、税金面での優遇もある。

 王氏は一方で、中国のソフト開発の課題として、日本と比較すると品質意識が低いことや、日本企業の担当者と言葉でコミュニケーションが取りづらいことなどを挙げた。だが、北京政府が品質向上のため、認定資格取得の奨励金を出したり、ソフト開発者に対して日本語教育を行っていて、それらの課題は改善されつつあるという。

 今回のフォーラムに合わせて、中国政府関係者や中国のソフトベンダ幹部ら50人が来日した。ソフト開発の受託増大や、日本企業の北京進出の促進を目指して、多くの企業にアプローチする。

(垣内郁栄)

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日本中訊

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