サン・ブレード(刀)の切れ味は?

2003/2/13

SPARC/Solarisベースのブレード・サーバ「Sun Fire B100s」

 サン・マイクロシステムズは2月12日、ブレード・サーバ製品の新プラットフォームを第2四半期以降に出荷すると発表した。

 発表したのは、ブレード型のサーバを格納する本棚の形状をした箱(シャーシ)「Sun Fire B1600」(72万8000円)とSPARC/Solarisベースのブレード・サーバ「Sun Fire B100s」(27万2000円)、ブレード・サーバ用ストレージ「Sun StorEdge 3310 NAS」(182GBのモデルで380万円から)の3製品。いずれも同社が推進する次世代データセンタ構想「N1」を担うコンポーネント製品である。「コストと複雑さを低減させ、スピードを向上させること」(インフラストラクチャ・ソリューション事業担当取締役 ジェームズ・ホワイトモア氏)がネットワーク・コンピューティング構築の最重要要素であるように、電源を止めることなく、素早い拡張・交換・設置を可能にするブレード・サーバの存在は、同社にとって「N1」構想の成功に欠かせない要素となる。

 「Sun Fire B1600」は、EIA19インチラックに搭載可能な3U(約13.2センチ)の筐体で、シャーシ内に最大16枚のブレードサーバを装着できる。つまり、42Uの設置スペースを持つ標準ラック1台あたり最大224台のブレードサーバを格納可能。「これは1Uサイズの薄型サーバの5倍以上の高密度を実現」(プロダクト・マーケティング本部長 松田英二氏)しているという。シャーシ内の16のブレード・サーバは毎秒1ギガビットの転送速度を持つギガビット・イーサネットによるミッドプレーン(本体内の高速ネットワーク)に接続される。さらにシャーシ内にはギガビット・イーサネット接続用の装置であるスイッチとシャーシ内の管理・監視のためのコントローラを1つに統合した「スイッチ/システムコントローラ」と呼ばれるコンポーネントが標準装備(最大2台内蔵可能)されている。

 「Sun Fire B100s」は、UltraSPARC IIi 650MHzプロセッサを搭載するSolarisオペレーティング環境で稼働するブレード・サーバ。同社では将来的には、Sun LinuxおよびSolaris x86プラットフォーム版をサポートするx86ベースの汎用ブレード・サーバも発売する予定。

 ハードウェア・プラットフォームの投入と平行して、運用管理・監視を支援するシステム管理ソフトウェア「Sun Management Center」用の追加モジュールとSNMPエージェントシステムを順次適用可能にする予定だ。「Sun Management Center」を利用することで、同社のサーバ製品「Sun Fire V100」から「Sun Fire 15K」までのラインアップと同様に、シャーシやブレード・サーバの情報を視覚的に監視することができるようになる。

 ブレード・サーバの性能を単純に測る指標としては、高密度性能、データの転送速度性能、信頼性などが挙げられる。そういう意味で、42U設置スペースの標準ラック1台あたり224台の高密度性は評価できるし、その他ネットワーク性能、堅牢性など、ハードウェア性能はなかなかのものである。問題は、このようなコンポーネントが「N1」構想の中でどのように生かされるかというマーケティングの問題だ。切れ味鋭い刀をいかに使いこなすか? 技術的なイニシアティブ獲得も必要だが、2003年のサンの課題は実は、そこにあるのかもしれない。

(編集局 谷古宇浩司)

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サン・マイクロシステムズ

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