「TCOが半分以下に」、CTCがハイエンドLinuxサーバ発売

2003/2/26

CTCが販売する米イージェネラの「BladeFrame」

 伊藤忠テクノサイエンス(CTC)は米Egenera(イージェネラ)と提携し、イージェネラのハイエンドLinuxサーバ「BladeFrame」の販売を開始したと発表した。BladeFrameはハードディスクドライブ(HDD)を内部に搭載しない「画期的なアーキテクチャを採用した製品」(CTC 常務取締役 営業部門長 中野亨氏)で、UNIXでシステムを組むのと比べてTCOは半分になるという。

 BladeFrameの特徴は搭載するブレードを専用のソフトウェア「PAN(プロセシング・エリア・ネットワーク) Manager」で管理して、Webサーバやデータベースなどのアプリケーションを仮想的にブレードに割り当てる新しいアーキテクチャを採用したこと。ブレードは24枚まで搭載可能。例えばブレードのうち5枚をDBサーバ用、5枚をWebサーバ用、5枚を電子メール用などとPAN Managerから割り当てることができる。日中はWebサーバへのブレードの割り当てを増やし、夜間はDBサーバへの割り当てを増やすなど、サーバに割り当てるブレードの割合を動的に設定可能だ。さらにブレードに障害が起きた場合でも、フェイルオーバー機能により、別のブレードが作業を引き継げる。必要なサーバ台数が少なくなるうえ、CPU利用率が上がるために、CTCではシステム構築と運用にかかわるTCOが従来のUNIXシステムに比べて、「2分の1以下になる」としている。

 ブレードへの動的なサーバの割り当てを行うため、各ブレードにはHDDを搭載しない仕組みになっている。従来のブレードサーバのようにHDDを搭載していると、そのブレードで利用できるアプリケーションがHDDに縛られるが、BladeFrameはディスクレスにすることで、簡単に仮想サーバの割り当てができる。ブレードはホットプラグに対応し、利用に応じて自由に付け替えることが可能。HDDに通常記録するOSやアプリケーション、データなどは外部接続したRAIDディスクに記録する。CTCでは「名称はブレードだが、通常のブレードとはアーキテクチャが異なる。インテルが提唱している“モジュラーコンピューティング”をイメージしてほしい」としている。

 1枚のブレードにはインテルのXeonプロセッサ/Pentium3プロセッサを最大で4CPUまで搭載可能。メモリは12GBまで搭載できる。24枚のブレードを搭載した場合、最大で98CPU、288GBメモリまで拡張できる。OSはRedHat Linuxを搭載する。

 製品価格は5000万〜3億円。CTCではBladeFrame販売のために「Linuxセールスチーム」を2002年11月に新設した。大手システム・インテグレータや金融、通信などをターゲットにして2003年度に30億円、2005年度に100億円のビジネスに育てる考えだ。

米イージェネラのCOO マイク・トンプソン氏

 米イージェネラのCOO マイク・トンプソン(Mike Thompson)氏によると、イージェネラはゴールドマンサックス出身のバーン・ブローネル(Vern Brownell)氏が2000年3月に創設。日米の金融機関が100億円を超える投資をしているという。米国ではすでに金融機関を中心に導入実績がある。トンプソン氏は「幅広いネットワークを持つCTCは理想的な提携先だ」と述べた。

 一方、サンのUNIXサーバを長く販売してきたCTCには複雑な思いもあるようだ。CTCの執行役員 営業・技術統括補佐 後藤健氏はサンのハイエンドサーバとBladeFrameについて「重なる部分はある。部分的に競合せざる得ない。CTCとしてはBladeFrameのよさを顧客に訴求したい。選択は顧客に任せる」と述べた。だが、コストの安さなどからLinuxが今後大きく伸びると見ているようで、「どういうところでUNIXからLinuxへの移行が始まるかを見極めたい」と語った。

(垣内郁栄)

[関連リンク]
伊藤忠テクノサイエンスの発表資料
米イージェネラ

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