「30分で利用できるIPv6」の実証実験

2003/3/6

フリービット代表取締役社長兼CEOの石田宏樹氏

 インターネット・サービス・プロバイダ(ISP)のバックエンド支援などを行っているフリービットは、IPv4環境でIPv6化を実現する新技術「Feel6 Technology」を開発し、一般ユーザーを対象にした実証実験を開始すると発表した。フリービット代表取締役社長兼CEOの石田宏樹氏は、「インフラサイドがIPv6レディであることを証明したい」と強調。「技術を意識することなく一般ユーザーにIPv6を感じ取ってほしい」と述べた。

 Feel6 Technologyは、IPv6のパケットをカプセル化して既存のIPv4ネットワークを通過させるトンネリング技術を活用。石田氏によると、トンネリングと動的なIPアドレスを扱うDTCP(Dynamic Tunneling Control Protocol)技術はすでに開発された技術だが、「これと大規模運用を組み合わせるのがフリービットの技術」だという。Feel6 Technologyを実現するには、ネットワーク側に「Feel6 Server」、クライアントPCに「Feel6 Client」の各ソフトを導入する。実証実験にはWIDE Projectが後援し、ヤマハ、日立製作所がルータの開発などで協力する。ソニーも協力する方針を示している。

キャスターの木村太郎氏も発表会見に出席。木村氏が代表を務める「湘南ビーチFM」がIPv6対応の放送を開始したという

 実証実験は3月5日から7月31日まで。参加するユーザーは専用クライアントソフトを使うことで、加入しているISPに関係なく、IPv6を無償で利用できる。専用クライアントソフトは認証機能のほかにWebブラウザや電子メールソフト、フィルタリング機能などがある。利用できるOSはService Pack 1を適用したWindows XP 。マッキントッシュ版の公開も予定している。

 石田氏は専用クライアントソフトを使うことで、「30分でIPv6を利用できるようになる」と簡単さを強調した。フリービットは実験参加ユーザー向けに専用ポータルサイトを開設し、IPv6でしか利用できないストーミング動画などを配信する。

 石田氏はIPv6が一般ユーザーに必要とされる背景として、「IP電話や情報家電の普及で、インターネットからの到達性確保と膨大な個体数への対応、セキュリティの確保が求められている」と説明。「ISP経由でインターネットにアクセスしているユーザーの80%以上を実験で獲得したい」と目標を掲げた。

(垣内郁栄)

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フリービットの発表資料

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