MSの新サービス「Microsoft .NET Alerts」とは?

2003/3/20

左から、東京三菱銀行 EC推進部門IT事業部開発グループ次長の柏木英一氏、ジェイティービー 市場開発部シニアマネージャの北上真一氏、マイクロソフト 取締役エンタープライズビジネス担当の鈴木和典氏

 マイクロソフトは3月19日、「Microsoft .NET Alerts」の日本国内サービスを開始したことを発表した。
 
 「Microsoft .NET Alerts」とは、ユーザーがあらかじめ登録しておいた設定に従って、(「 .NET Alerts」対応サービスを提供する)企業が配信する情報を受け取ることができるサービス。ユーザーは、.NET Passportのサインインを行っておけば、登録した情報をデスクトップ上のポップアップ通知で知ることができる。設定次第では、PCだけではなく、携帯電話や携帯情報端末での受信も可能である。

 米国ではすでに1年前から同様のサービスを開始しており、30万人のユーザーが利用している。同社は、「.NET Alerts利用ユーザーの40%が、配信情報に対してレスポンスを返している」という調査結果を示し、従来の電子メールやバナー広告などと比較して、マーケティング効果の高いことを強調した。マイクロソフト 取締役エンタープライズビジネス担当の鈴木和典氏は「国内で300万人いるマイクロソフト・メッセンジャーのユーザーを潜在ターゲットにしていく」とし、初年度で10社との契約、10万人以上のユーザーを確保する計画を明らかにした。

 「Microsoft .NET Alerts」サービスを活用する企業は、マイクロソフトが提供するAlertsサービスの仕組み(ASPで提供)を利用する。ユーザー数(あるいは通知数)に応じた月額費用(ユーザー単価は月額9円程度が目安)と.NET Passportの契約金(120万円のサービス費用と18万円のサイト確認費用が毎年発生)が基本的なパック価格である。

 国内では、ジェイティービーと東京三菱銀行が「Microsoft .NET Alerts」早期導入企業として名乗りを上げた。
 
 ジェイティービーでは、旅行および旅行関連情報の提供や予約/決済をWeb上で展開しているが、新サービス「JTBアラート」を追加することで、旅行情報の提供、得ダネ告知、限定商品の提供、さらには緊急商品の発売告知、キャンペーン情報などを「Microsoft .NET Alerts」を活用して、ユーザーにリアルタイムに通知していく。ジェイティービー 市場開発部シニアマネージャ北上真一氏は「弊社のWebサイトはデータベースと連動した動的なページで構成されており、Webサイトだけの事業規模で300億円(2002年度)を超える巨大さを誇る。ただし、あまりにも膨大な情報量を、顧客に対していかに示していくかが悩みどころだった」と話す。今回「JTBアラート」を提供することで、顧客に対し、更新情報をタイミングよく提供しながら、Webサイトビジネスの付加価値としていく計画だ。同社では、電子商取引事業で、2005年には1000億円の売り上げを目指している。

 東京三菱銀行の「東京三菱クイックアラート」は、外国為替相場情報や投資信託基準価額速報、三菱証券アナリストによる1日3回のマーケットコメントをメッセンジャーを通じて顧客に配信する。対象顧客は、同社が展開する法人向けインターネットバンキングサービス「東京三菱BizSTATION」の契約企業だ。これは、半年前に開始した無料サービスで、現在2万社の契約実績を持つ。東京三菱銀行 EC推進部門IT事業部開発グループ次長の柏木英一氏は今回「東京三菱クイックアラート」を開始する背景について、「これまで受け身だった銀行のサービスをプッシュ型に変えていきたかった。また、リアルタイムの情報配信が、銀行ビジネスにどの程度結びつくのか、実証実験の意味もある」と話す。

(編集局 谷古宇浩司)

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