最強の秘伝レシピ(=開発プロセス)を作れ!

2003/3/21

ボーランド Software Senior Manager、Developer Relationsのランディ・ミラー(Randy Miller)氏

 米ボーランド Senior Manager、Developer Relationsのランディ・ミラー(Randy Miller)氏(正式名称はGranville Miller)が来日した。FDD(Feature Driven Development)の提唱者であり、米トゥゲザーの社長であった(現在、ボーランドのボードメンバー)ピーター・コード氏とともに、“開発プロセスの専門家”として、ボーランドの新たな局面を切り拓く役目を担っている。つまり、従来ツールベンダの大手として主にコーディングなど開発の下流工程に強みを発揮したボーランドが、開発の全工程をカバーする包括的なツールベンダとして脱皮するのを支援する重要な役割を担っているのである。

 ミラー氏は、開発プロセスを料理の「レシピ」にたとえ、「各社独自の秘伝レシピ」を作り上げることが、し烈な競争を繰り広げるIT業界で生き残る1つの道であると説く。ミラー氏は言う。「例えばコーヒー・ケーキを作る手順(レシピ)を考えてみる。レシピに従えば、誰でもコーヒー・ケーキを作ることができる。ソフトウェアの開発プロセスとはまさに、料理におけるレシピのようなものだ。しかし、皆が皆、同じ味で同じ形のコーヒー・ケーキを作る必要はないはず。各人それぞれ、スペシャルなものを作らなくては意味がない。当たり前のレシピにスペシャルな要素を付け加えることで、独自のレシピが出来上がるというわけだ。ソフトウェア開発にもまったく同じことがいえる」。

 ソフトウェア開発の現場において、レシピにあたるものは何か。ミラー氏は、「例えば、UP(Unified Process)やFDD、XP(eXtreme Programming)などのベース・プロセス」だとする。書籍やWebサイトで紹介される有名な開発プロセス群は、残念ながらそのままの形でプロジェクトに適用することはできない。それは、開発の規模や性質、プロジェクトのメンバー数、企業文化などさまざまな要素によって、カスタマイズを迫られるものだ。また、開発プロセスによっては、弱点も当然ある。

 例えば、UPは長期的なスケジュールの大規模(開発者100人以上)な開発案件に威力を発揮する。「要件定義やシステム分析といった前工程に比重を置くプロセスといえるだろう」とミラー氏は言う。ただしUPは、XPのように「開発者は6人程度で、平均3〜6カ月間の開発案件に適する」(ミラー氏)開発プロセスではないし、40人程度の開発陣で、12〜18カ月間程度の開発案件に適するFDDとも性格が異なるのだ。

 そこで、ミラー氏は、「まずはこれらベース・プロセスの勉強をしっかりするべきだ。そして、ベース・プロセスの良い部分と悪い部分を経験によってより分け、自社および開発案件ごとに“カスタム・ブレンド”ができる体制を整えてはじめて、最強のレシピ=開発プロセスを作り上げることができるのだ」と言う。現在、「米国と同様、日本の開発現場のトレンドは、ベース・プロセスの学習期間という状態」(ミラー氏)だが、このような経験を積まなければその先の段階には進めないのである。そして、“カスタム・ブレンド”のコツは、開発プロセスを4段階のミニレシピに分割し、それぞれの段階でカスタマイズを行っていくことだという。例えば、「定義」「設計」「構築」「テスト」の4段階である。

 このようなミラー氏の開発プロセス“カスタム・ブレンド”術は、すべて「アジャイルソフトウェア開発思想」に貫かれている。一般的にUPは、アジャイルな開発プロセスの対極にあると位置付けられることが多いが、ブレンド次第で、「迅速なアプリケーションの開発を実現する」(ミラー氏)アジャイル開発が可能になるし、そうあるべきだとするのがミラー氏およびボーランドの基本精神としてあるようだ。もちろん、このような思想と共鳴するような開発ツール群がボーランドにそろいつつあるという要因も忘れてはならない。同社は、開発プロセスとツールが融合した「完全な体系」を形作ろうとしており、その一翼をミラー氏が担っているのである。
 
 現在同社では、マーケティング、セールス、開発などさまざまな部門において、アジャイルソフトウェア開発思想と同社のツール群の優位性を説くスキルを持つエバンジェリスト的なスタッフを養成している。そしてすでに総勢1000人以上がエバンジェリストとして前線に立ち、新生ボーランドをけん引しているという。

(編集局 谷古宇浩司)

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