プロセス統合は「Best PracticeからBest of Breedへ」

2003/3/25

 「ヘテロジニアス環境での企業のプロセス統合は、Best PracticeからBest of Breed(最良)なアプローチが前提となってきている」。キャナルグループの取締役副社長 土屋謙一郎氏はこう述べて、業務プロセスの統合により、単に最適の方法を実践するのではなく、変更に対して柔軟なインフラを実現することが重要との考えを示した。

キャナルグループの取締役副社長 土屋謙一郎氏

 土屋氏はノベルとテクマトリックスが主催した「Novell exteNd ソリューションセミナー」で、講演。テーマは「Webサービスによるビジネス・プロセス再構築のトレンドと手法」だった。

 土屋氏は、現状の業務プロセスについて「各システム、パッケージソフトが乱立し、管理が複雑になっている。ERPを含めて、ユーザー・インターフェイス、管理面を統合したいというニーズが出てきている」と説明。企業側には、Webサービスを採用することと、短期導入へのニーズがあると指摘した。また、統合に関しては、あらかじめ新システムの導入や企業自体のM&Aなどに対応できるインフラを実現できることが求められているという。

 プロセス統合を実施するには、事前の分析が必須。だが、土屋氏によるとその分析が不十分で、「無理な実装となるケースが多い」という。特に「承認ステップの実装などワークフロー関係がERPには難しく、日本特有の組織階層分析が不十分になる」(土屋氏)という。

 土屋氏は、プロセス統合の前に業務改革を行って、組織を“あるべき姿”に近づけることが重要だという。だが多くの企業では、プロセス統合プロジェクトの1つとして業務改革を行うことがあり、結果として「迷走することが多い。システム導入前に業務改革を立ち上げる必要がある」という。

 国内企業の場合、プロセス統合を成功させるのには4つの組織の分析がポイントになる。4つの組織とは、人事組織、経理組織、管理会計組織、現場組織。いかに日本独特の商慣習をERPなどのシステムに実装するかが課題となっている。

 同じセミナーで講演したノベルの営業本部営業企画グループ 大津正広氏は、ノベルの「Novell one Net」を活用するWebサービス構築について説明した。大津氏はWebサービス構築のポイントを「簡潔さ、統合、再利用」と指摘。企業システムについて、「ユーザー、デバイス、プロセス、リソースで構成されている。だが、プロセスが顧客、従業員、サプライヤ間で断続している」と述べた。そのために「個々のアプリケーションが縦割りで、固定化されていて、新しいニーズにこたえられない。アプリの縦割りが足かせになっている」という。

 そのうえで、ノベルのone Netは、「アプリケーションから情報、プロセスをそれぞれ分離し、標準インターフェイスを通じて連携させる」として、「あらゆるユーザー、デバイス、ロケーションへサービスをセキュアに展開できる」と強調した。

(垣内郁栄)

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