「米本社と格闘して変えた」、MSの新ライセンス

2003/3/26

 マイクロソフトは、米国で4月24日に発売するWindows Server 2003で新しいライセンスを導入する。「ユーザーのニーズに合わせた」という新ライセンスで、TCOが減少する可能性があるという。

 新ライセンスのポイントはWindows 2000 Serverであった“接続クライアント数モード”を“接続デバイスまたはユーザー数モード”に変更し、デバイス単位だけでなく、ユーザー単位でもライセンスを購入できるようにしたことだ。Windows 2000 Serverではサーバを利用するデバイス数に応じて必要なライセンス数が決まっていた。そのためPDAや携帯電話、ネット対応のIP電話などがエンタープライズで普及すると、その1台1台にデバイス向けのライセンスが必要になり、企業の負担が大きくなると判断。ユーザー数に応じたライセンスを用意することにした。“同時使用ユーザー数モード”は引き続き残る。

 例えば、Windows Server 2003に接続した3台のPCを、5人の社員が利用する場合は、デバイス単位のラインセンスを購入した方が企業のコストは低くなる。だが、複数のノートPCや携帯デバイスがWindows Server 2003に接続していて、少数の社員が使っているという環境なら、ユーザー単位のラインセンスを購入した方が得になる。

マイクロソフトの製品マーケティング本部Windowsサーバー製品部シニアプロダクトマネージャの荒井一広氏

 マイクロソフトの製品マーケティング本部Windowsサーバー製品部シニアプロダクトマネージャの荒井一広氏は「これまでのライセンスではデバイス単位の利用について柔軟性がなかった」として、「PDA、携帯電話、IP電話でWindows Server 2003にアクセスする使い方などサーバ利用の新しい流れを意識した」と、新ライセンスの狙いを説明した。Windows 2000 Serverでデバイス単位のライセンスを購入していた企業が、ユーザー単位のライセンスに切り替えることでTCOが減ることも期待できるという。

 マイクロソフトはまた、Windows 2000 Serverの“インターネット コネクタ ライセンス”を、Windows Server 2003では、“エクスターナル コネクタ ライセンス”に変更。顧客やビジネスパートナーなど社外のユーザーがWindows Server 2003に自由にアクセスできるようにした。

 マイクロソフトのエンタープライズ企画本部 本部長 石澤一良氏は、マイクロソフト製品のライセンスについて、「硬直的と思われてきたライセンスに風穴を開けてきた。米本社と格闘して、日本のニーズに合うようにしてきたと自慢できる」と述べた。

(垣内郁栄)

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