「N1だけがリアルな構想だ」、サンが検証センターを開設

2003/3/28

 サン・マイクロシステムズは次世代データセンター・アーキテクチャ「N1」を国内で実用化するための「N1検証センター」を近く開設することを発表した。今年1月には日本法人にN1を推進するための専門部隊を組織。ビジョンとして語られることが多いN1を、実際のビジネスの現場で使える製品に落とし込むための試行がサンで始まったようだ。

 N1はデータセンター(広い意味での企業の情報システム全体)の複雑性を解消し、TCOの削減を目指すアーキテクチャ。情報リソースの仮想化と共有、サービスレベルの維持などを順次実現していく。米国では携帯電話事業者の協力を得て、実際にN1の対応ソフトを導入するパイロット・プロジェクトが始まった。また、2003年第2四半期にはブレードサーバ向けに、リソースを仮想化して、最適な効果が出るように自動配置するソフト「N1 Provisioning Server 3.0 Blades Edition」を投入する。サン自体はN1を2002年から3年間かけて実現していくことを予定している。

サン・マイクロシステムズのデータセンター・ソリューション事業本部 本部長 山本恭典氏

 ただ、サンのデータセンター・ソリューション事業本部 本部長 山本恭典氏によると、「N1がそのまま日本で使えるわけではない」。N1はマルチベンダ環境が前提となるために、それぞれのシステムを接続するための検証や、国産ベンダの運用管理ソフトなどと連携を取る必要があるのだ。そのためにサンが取り組むのが、「N1検証センター」の開設。N1の実稼働環境を構築してデモンストレーションや評価、マルチベンダのシステムへの対応を検証する。ISVパートナーなどとの共同検証も行う予定だ。

 また、サンはN1の本格導入を前に、今年1月に専門部隊の「N1タスクフォース」を25人体制で発足させた。スタッフはエンジニアのほかにソリューション・マーケティング担当やプロダクト・マーケティング担当など。国内でのN1戦略の策定やパートナー戦略、N1の展開を担う組織で、「ソリューションセットを確立していく」(山本氏)という。

 山本氏によると、N1はビジョンが先行して広がったためにさまざまな「誤解」があるという。最も多いのは「N1とグリッド・コンピューティングは違うのか」という誤解。サンの定義では、グリッドは複数のコンピュータでCPUとメモリを共有する「クラスターグリッド」と、企業などでポリシー、セキュリティを確保したうえで部門をまたがってCPU、メモリを共有する「エンタープライズグリッド」。それと世界各地の離れた場所にあるコンピュータをインターネットを介して接続し、計算する「グローバルグリッド」がある。一般的にグリッド・コンピューティングといわれているのは、このグローバルグリッドだ。だが、サンの考えではグローバルグリッドは「理想としてはあるが、現状では技術的、心理的な面で実現は難しい」(山本氏)という認識だ。

 では、N1の位置付けは? 山本氏は「サンとしてはクラスターグリッドとエンタープライズグリッドが今、実現可能で実際にやっている。グローバルグリッドはN1によって実現しようとしている」と説明した。つまり、現状のままではグローバルグリッドの実現は難しいが、N1を使うことで実現できるというのだ。グローバルグリッド実現のうえでボトルネックになっていた課題も、山本氏は「人とモノの認証をすることで解決できる」という。人の認証はLiberty Alliance、モノの認証は無線ICタグ技術のAutoIDでクリアするという。

 N1には、IBMの自律コンピューティングやHPのユーティリティ・データセンタなどライバルと思える構想がある。だが、山本氏は、「IT業界で唯一、N1がリアルな構想になっている。インフラストラクチャー・プロビジョニングやバーチャリゼーションがバイナリレベルで存在し、それをシステムベンダとしてパイロット・プロジェクトを行ったり、製品として出荷、サポートしているのはサンだけ。サンはステップを確実に現実のものしている」と強調した。

(垣内郁栄)

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