「Windows Server 2003」と自律型コンピューティングの関係

2003/4/9

マイクロソフト 製品マーケティング本部 ウィンドウズサーバー製品部 吉川顕太郎氏

 マイクロソフトが3月13日に発表した“自律型コンピューティング戦略”「Dynamic System Initiative(DSI)」は、「Windows Server 2003」のリリースから本格的に始まる、とマイクロソフトは説明する。同社では3〜5年をかけて、実働ソリューションとしての評価を獲得するという。この中期戦略で実現されるであろう世界では、「動的なリソースの割り当て」が可能で、「運用管理を見据えた設計」を行うことでき、全体を統合的に管理できるシステムを構築し、管理、運用、保守を行えるシステムが出現することになる。

 こう見ると、IBMやHP、サン・マイクロシステムズなどが打ち出す自律型コンピューティング戦略との明確な差別化点はいったいどこにあるのか? という疑問が当然わく。製品マーケティング本部 ウィンドウズサーバー製品部 吉川顕太郎氏は、「業界標準のハードウェアを自由に選択する権利が顧客に生まれる」と説明、自律型コンピューティング戦略に対するアプローチをソフトウェアサイドから行っているのは、マイクロソフトだけだという差別化点をアピールする。ソフトウェアサイドからのアプローチが競合他社を凌駕(りょうが)するポイントは、「実装がどこよりも早い点」(吉川氏)だという。そして、マイクロソフトが、自律型コンピューティング戦略の最初の解答として示したのが「Windows Server 2003」というわけである。

 「Windows Server 2003」におけるDSI実現の機能は例えば、「動的なリソースの割り当て」という局面では、サーバの自動プロビジョニング、ストレージの仮想化、ワークロードマネージメント、サーバの仮想化が実現したことに表れている。具体的には、サーバの自動プロビジョニングを実現するために実装するのは、「Automated Deployment Services」と呼ばれるテクノロジであり、バージョン1.0が2003年第2四半期にサポートされる予定である。また、サーバの仮想化を実現する技術は、同社が買収したコネクティクスのVirtual Serverを実装することで可能となるだろう。

 「運用管理を見据えた設計」という局面においては、ディレクトリ・サービスによる中央集中管理の実現が欠かせないが、この点は、「Active Directoryの機能強化を行うことでサポートできる」(吉川氏)など、DTIに沿った改良が行われている。

 「Windows Server 2003」のこのような改良点は、一方で、今後登場する「Exchange Server 2003」などのコラボレーション分野の新製品とも密接な関係を持っているという点で、マイクロソフトの戦略面での「器用さ」を垣間見ることもできる。特に、Active Directoryの機能強化は、Exchange Serverの運用においては非常に重要な要素だろう。

 「Windows Server 2003」とその後の「Longhorn(コードネーム)」、さらにその先の「Blackcomb(コードネーム)」へと続くロードマップを戦略的に支えている(少なくとも現時点においては)のは、DSIである。DSIに対する最初の評価が問われるのが「Windows Server 2003」だということになりそうだ。

(編集局 谷古宇浩司)

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