[IDF Japan Spring 2003開催]
UWBを国内デモ、200Mbps以上の通信速度を記録

2003/4/12

 インテルは「インテル デベロッパ・フォーラム Japan Spring 2003」(IDF)で、低消費電力、超高帯域の無線技術「UWB」(ウルトラワイドバンド)のデモンストレーションを公開した。デモでは200Mbps以上の通信速度を記録。インテルは昨年のIDF JapanでもUWBのデモを行っているが、今回はそれを大幅に上回る通信速度で、研究開発の順調さを印象付けた。

インテルがUWBのデモで使った通信機器(右)。1メートル離れ場所に同様の機器を設置して通信速度を測定した

 UWBは微弱なパルス状の電波を、広い周波数帯に拡散させて通信する技術。Bluetoothなどと比べて電力が低消費で、超広帯域の通信が可能。微弱な電波を使うために利用できる距離は短く、システムと周辺機器間の通信や、デジタル家電の応用などに期待が集まっている。USBやBluetoothの後継技術としても利用が検討されている。UWBは広い周波数帯を使うため、携帯電話やほかの無線デバイスとの干渉問題の解決が課題になっている。現在、米国でのみUWBの商用利用が認められているが、国内では未承認。昨年のIDFでは電波が漏れないように送受信のシステムをシールドで囲ってデモを行った。今回はインテルが担当官庁からUWB実験の許可を得て、デモを実施したという。

 デモでは送信側と受信側の機器を1メートルほど離して設置。リアルタイムで通信させて、ソフトで通信速度を測定した。ソフトが測定した実際の通信速度は217Mbps程度だった。米インテル フェロー兼コーポレート・テクノロジ本部 コミュニケーションズ&インターコネクト・テクノロジ・ラボ ディレクタのケビン・C・カーン(Dr. Kevin C. Kahn)博士は、「短距離での高速なコミュニケーションに利用できる」と説明した。

米インテル フェロー兼コーポレート・テクノロジ本部 コミュニケーションズ&インターコネクト・テクノロジ・ラボ ディレクタのケビン・C・カーン博士

 インテルでは干渉問題を解決するために、UWBで利用する周波数を複数の周波数帯に分割する「マルチバンド技術」を研究している。複数の周波数帯に分け、干渉の可能性があるほかの無線デバイスを検知、回避できるようにする。利用する周波数帯を柔軟に構成できるので、日本など周波数帯に規制がある場合でも対応可能だという。

 UWM技術は米国のIEEE802.15標準化委員会で、標準化の作業が行われている状態。カーン博士は「2004年に標準化完了の計画だ」と説明した。インテルは、2004年後半に標準規格に準拠した最初のチップ製品が出荷され、2005年から2006年にかけて標準規格に準拠した最初のシステム製品が発表されるとみている。

(垣内郁栄)

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