SCM/CRM市場シェア調査、専業ベンダ苦境の原因は?

2003/5/1

 矢野経済研究所は2002年の国内SCMの市場規模が前年比13.7%減少し、CRMの市場規模も18.5%減少したとの調査結果を発表した。全般的に企業のIT投資が冷え込んだのが要因だが、2003年は再び投資額が増えて、市場全体が成長すると矢野経済研究所ではみている。

矢野経済研究所のSCM/CRMの2002年国内市場シェア調査でトップになったSAPジャパンの代表取締役社長 藤井清孝氏

 調査によると、2002年の国内SCM市場は167億5000万円で前年比13.7%の減少。景気低迷からSCMの導入が多い製造業を中心に新規投資を控えたことが響いた。だが、2〜3年と見られる製品のライフサイクルと景気回復の傾向を考えると、「2003年後半から徐々にSCMの市場は回復傾向に向かう」と、矢野経済研究所は予測している。矢野経済研究所の電子・システム産業調査本部 上級研究員 赤城知子氏は、「今年1-3月期から受注が増えるなど明るい材料が出始めている。9月までに景気の今後の見通しが出れば、製造業を中心にIT投資が復活するのではないか」と分析している。

 2003年の市場規模予測は177億7000万円で6.1%の成長。2004年には製造業のIT投資が本格的に回復し、前年比26.6%増と大きく成長すると予測している。2005年の市場規模は280億円に拡大するとみている。

 CRM市場も同様の傾向。2002年のCRM市場は前年比18.5%の減少で、102億7000万円に縮小した。赤城氏は「国内のIT投資が全般的に低調なことに加えて、金融業からの発注が一巡した」と説明。また赤城氏は、「国内ではCRMへの投資は米国ほど優先度は高くない。ビジネス環境などユーザーのニーズがCRMの機能についていっていないのではないか」指摘し、「CRMのコールセンターソリューションは底堅いが、それ以外のソリューションは厳しい」と述べて、ベンダのCRMソリューションと、企業のビジネススタイルとのミスマッチがあるとの考えを示した。

 それでもCRM市場は2003年から成長に転じ、毎年30%前後の成長率を維持すると予測。2005年には220億円規模になるとみている。

 2002年のベンダ別シェアではSCM、CRMともにSAPがトップ。SCM市場のSAPのライセンス売上高は、44億6000万円で26.6%のシェア。次いでi2テクノロジーズがシェア17.3%。3位のオラクルが12.5%となっている。SAPの強さは、すでにSAP R/3が導入されている企業に対して、SCMを追加で導入するように提案しやすいこと。SAP R/3を導入している企業が、あえて他社ベンダのSCMを選択することは少なく、売り上げを伸ばしたとみられる。結果としてSCMの専業ベンダが苦戦し、i2を除く専業ベンダは、マニュジスティックスが6%、アデクサが4.2%と低迷している。

 矢野経済研究所は、2003年はSAPがにさらに売り上げを伸ばすと予測。シェアは27.6%まで上昇し、2位との差を広げるとみている。

 CRM市場では、SAPの2002年のシェアは34.1%。SAPは、SCMと同様に既存顧客へのCRMの導入が順調に進み、35億円を売り上げた。2位は31.2%のシーベル、3位に19.5%でピープルソフトが続く。シーベル、ブロードビジョン以外のCRM専業ベンダのシェアは、オニックスが1.9%、エピファニーも1.9%、ピボタルは1.7%と、軒並み苦戦。赤城氏は「SCM市場でも専業ベンダは苦戦しているが、CRM市場はさらに厳しい」と指摘した。

 2003年のCRM市場はSAPがシェアを伸ばし、38.6%まで拡大すると予測。シーベル、ピープルソフトなど大半のベンダがシェアを落とす中で、全社的にCRMのマーケティングに力を入れるオラクルが、シェアを2002年の4.9%から7.7%に伸ばして、単独4位になるとみている。

(垣内郁栄)

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矢野経済研究所の発表資料

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