“T-REX”の逆襲なるか、IBMが新メインフレーム発表

2003/5/15

 日本IBMは、従来の製品から処理能力を3倍に強化したメインフレーム・サーバの最上位機種「zSeries 990」の販売を開始したと発表した。z990は開発コード名で「T-REX」(テラノザウルス)と呼ばれたメインフレーム・サーバ。オープン系サーバが注目されることが多いが、T-REXは絶滅せず、逆襲できるか。

 z990は32個のプロセッサを搭載し、従来機種「z900」の3倍にあたる9000MIPSを超える処理能力を持つ。搭載メモリはz900の4倍の256GB。「スーパー・スカラー」と呼ばれるIBMの新技術を採用し、プロセッサの処理能力を60%向上させた。JavaやERPなどの処理をより効率的に行えるという。マシン内を30のパーティションに区分けすることが可能。パーティションは今後、60まで拡張する予定となっている。パーティション内でLinuxを稼働させることで、UNIXサーバのシステム統合にも利用できる。

 z990は、利用するプロセッサを1日単位で増減させて、リソースの処理能力を調整できる「オン/オフ キャパシティー・オンデマンド」機能を搭載。企業の決算期などサーバのリソースが必要な時期には、あらかじめ導入されているプロセッサをオンにし、リソースが必要でなくなればプロセッサをオフにすることができる。増強したプロセッサの使用料は、利用日数によって日割りで計算する。

日本IBMの常務執行役員 BP&システム製品事業担当 橋本孝之氏

 z990の出荷開始は6月16日。価格は構成内容によって異なるが、ハード、保守合計の月額参考価格は、約1900万円から。日本IBMは、z990からメインフレームOSのz/OSを除いたLinux専用マシン「z990 Linuxモデル」も同時に販売開始する。価格は約1億円からとなっている。

 日本IBMの常務執行役員 BP&システム製品事業担当 橋本孝之氏は、z990について2つのターゲットを説明。1つ目は、「IBMや国産ベンダのメインフレームを使っている顧客」で、「レガシーなメインフレームのアプリケーションを拡張するだけでなく、それを基にERPやWeb系アプリケーション、Linuxなどを同一のプラットフォームで稼働させて、すべてのIT環境を統合できる」ことをアピールする。2つ目は、他社のUNIXサーバを使っている顧客。z990をLinux専用マシンとして利用し、「複数台のUNIXサーバを1台のz990に統合できる」とことを強調する。

(垣内郁栄)

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日本IBMの発表資料

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