ERPの失敗プロジェクトはもう許さない

2003/5/29

 IDSシェアー・ジャパンは、SAP製品の導入および保守コンサルティング事業において、静岡県浜松市のシステム・インテグレータ(SI)、ソフテスとの協業を発表した。ソフテスが持つSAP製品の導入コンサルティングおよび保守運用ノウハウと、IDSシェアーのビジネスプロセスマネジメント(BPM)ツール「ARIS」を組み合わせたSAP導入サービスを提供する。具体的には、ARISを使ってプロジェクトノウハウそのものを可視化し、システム導入後も継続的にビジネスプロセスを管理・改善することで、ユーザー企業のROI向上に貢献するという。サービス開始は6月から。初年度5件の共同受注を目指す。

IDSシェアー・ジャパンの代表取締役社長 柳堀紀幸氏(右)とソフテスの代表取締役社長 鈴木忠雄氏

 ERPの導入が進む一方で、「システムが現場に根付かない」「期待した効果が出ない」「納期遅れや開発コストの見積もりが不正確」など、失敗プロジェクトも数多く報告されている。これはユーザー側が、明確な目標設定や業務改革を実行できず、ベンダに丸投げしてしまうことに原因があるという。今回の発表に当たってIDSシェアーの代表取締役社長 柳堀紀幸氏は、「こうした失敗プロジェクトを撲滅するため、ユーザー自身が経営課題に基づいて業務改革を進められる導入アプローチが必要になってきた」と述べ、“顧客指向アプローチ”を標ぼうするソフテスとの協業に意欲を見せた。

 ソフテスはR/3導入サービスを中心としたSAP社製品専業のSI企業。ヤマハ発動機の経理・営業・生産を担当していた実務専門家チームがスピンアウトして1997年9月に設立した会社で、ユーザー部門出身という強みを生かし、ユーザーの視点に立ったITコンサルティングを提供している。具体的には、「ユーザーダイレクト方式」と銘打った独自のR/3導入方法論「Softes方式」を確立。経営目標や業務改革に主眼を置き、3カ月程度の間隔でプロトタイプを作成してフィット&ギャップを重ねながら、R/3標準機能と業務の整合性をとり、導入を進めていくというもの。今回の協業の目的は、IDSシェアーがARISを活用した業務改革コンサルティング手法を用いてプロジェクトに参加することで、Softes方式の体系を一層充実させていくことだ。

 ソフテスの代表取締役社長 鈴木忠雄氏は「IDSシェアーはBPMの観点から、当社はユーザー企業の経営課題の観点から、それぞれ独自のR/3導入方法論を作り上げてきた。2つの手法を融合することで、効果的かつ効率的にR/3を導入できる」と語った。業務改革にひも付いた形でシステムを導入するため、ユーザー側にIT導入のノウハウが根付き、その後の保守・運用作業の負荷も軽減されるとのことだ。これにより、TCO削減も期待できるという。

(編集局 岩崎史絵)

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IDSシェアー・ジャパンの発表資料
ソフテス

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