価格、導入期間をガラス張り、オラクルの考えるERPビジネス

2003/6/19

日本オラクル 代表取締役社長 新宅正明氏(右)と同 取締役専務執行役員 セールス・マーケティング・開発統括担当 山元賢治氏(左)

 日本オラクルは6月18日、中堅企業向けERP事業強化策として、同社のERP製品「Oracle E-Business Suite」(以下EBS)を定額、短期間で導入するサービス体系「Oracle NeO」を開始すると発表した。「Oracle NeO」は、パートナー企業23社のEBS向けテンプレートに、ソフトウェアライセンス、ハードウェア、導入サービスを組み合わせた定額制のパッケージサービス。

 ERP導入にかかわる、導入期間延長、コスト増などのマイナスイメージを、「明朗な導入基準価格、導入期間を提示することで払拭」(日本オラクル 代表取締役社長 新宅正明氏)、顧客がプロジェクトの総額や納期を事前に把握できるような仕組みを作った。サービスの基盤となるテンプレートは当初38種類から開始し、「100種類程度にまで拡大していきたい」(同 取締役専務執行役員 セールス・マーケティング・開発統括担当 山元賢治氏)考えだ。導入基準価格は、最小構成で6000万円から、標準的な構成で1億円と“切りのいい数字”を提示している。

 同社がターゲットとする“中堅企業”とは、売上高300億〜1000億円未満の企業を指す。ERP Forum Japanの調査レポート「2003 企業アプリケーション・システムの導入状況に関する調査」によると、このような中堅企業が情報システムにおいて抱えている課題は「全社情報システム統合と情報共有」「コスト削減」「運用負荷の軽減」だという。日本オラクルは、導入段階でも要件定義が変化し続け、結果的に納期が大幅に延び、コストが当初の見積額を上回るケースが多いとされるERP市場の問題点を「パートナー企業との連携で解決しようと試みる」(新宅氏)。

 通常、ERPのテンプレートは、ERPベンダのパートナー企業が、独自の技術力とサポート力を付加価値として提供するために用意するものである。日本オラクルでは、ERPビジネスのこのような慣習を撤廃し、パートナー間でもテンプレートを自由に流通させるようにした。定額制のサービスを実現するには、パートナー間のこのような連携は不可欠である。ただし、サービス自体は「スタンダード導入サービス」「オプション導入サービス」「アドバンス導入サービス」の3種類に分かれており、それぞれのパートナーが独自のビジネスを展開しやすい体系をあらかじめ用意しておくことも忘れてはいない。

 新宅氏は「初年度50億円、3年後には4倍の売上規模にまで拡大していく。このくらいのマグニチュードで(ERP)市場にインパクトを与えていきたい」ことを強調、ERP市場で30%以上のシェア、市場1位の地位獲得に意欲を見せた。


(編集局 谷古宇浩司)

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日本オラクルの発表資料

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