持ち札は“RoyaleストレートFlash”、マクロメディア

2003/6/20

米マクロメディア会長兼CEO ロブ・バージェス氏

 「リンクボタンをクリックし、HTMLの海を彷徨(さまよ)うのが従来の(そして現在の)Webアプリケーション環境だとするなら、マクロメディアが提供するのは、そのようなWebの既成概念をたたき壊す革新的なテクノロジである」。米マクロメディア会長兼CEO ロブ・バージェス(Rob Burgess)氏が6月20日に開催する「Macromedia Flash Conference」で行う基調講演は、おそらくこのような主旨の内容になるだろう。

 バージェス氏は言う。「インターネットが社会に与えた影響は非常に大きい。まさにインターネットは社会を侵略する勢いで急成長してきた感じである」。しかし、侵略の速度が速すぎた。その結果、何が起こったのかは、毎日インターネットにアクセスしている人ならすでにうんざりするほどわかっているに違いない。米Forester Researchが行ったある調査によると、商用Webサイトについて思い描いていた夢が現段階で実現したとする企業(の経営者)は、ほとんど存在しなかったという。「あまりにも急いで作られすぎた。結果的に、未成熟なWebサイトが量産されてしまった」(バージェス氏)。つまりそれが、インターネットに侵略された社会の“失われた5年間”の成果だったのである、とバージェス氏は示唆する。

 「そこで登場するのがマクロメディアなのだ」とバージェス氏は言いたいに違いない。今後2年ほどの短期的なロードマップを明らかにしながら、バージェス氏はデモンストレーションを交えて、“失われた5年間”を取り戻す方法を語った。その中核に位置するのが製品およびFlashテクノロジとしてのFlashである。バージェス氏が展開したデモンストレーションは「次世代のWebアプリケーションは、Flash技術を活用することで、ユーザーの視点に立った、直感的で、素早く、フレンドリーな環境に生まれ変わる」ことを印象づけようとしていた。そして、今回のデモは、バージェス氏がマクロメディアの販売拠点がある世界各地で使う“定番のデモ”であることは言うまでもない。マクロメディアにとって、そしてバージェス氏にとって、Flashテクノロジが影響を及ぼす同社の製品群は、来るべき次世代のリッチWebアプリケーション環境で、同社がイニシアティブを獲得するために必須の武器となる。

 例えば、自動車メーカー「Austin Mini」のWebサイト。車のデザインを自由に変えながら、自分の好みを探す。デザインが決まれば、ディーラーにオーダーを出す。決済を行う。普通に考えれば、“リンクの森に踏み込む”のを避けられない作業だ。しかし、Flashを組み込むと、「1つの画面ですべての作業が完了する。Flashはクライアントサイドで動作するため、いちいちサーバにアクセスする負荷がかかることはなく、非常に快適に操作することが可能になる」(バージェス氏)。さらに、イギリスの企業「Iokio」のWebサイト中にある「Camera Finder Demo」。デジタルカメラの「価格」「解像度」などのパラメータを操作することで、画面上に配置されたデジタルカメラの画像が、条件に従って増減する。つまり、絞り込み検索をリアルタイムで、しかも直感的に行えるのである。もちろん、そのまま購入手続きをすることもできる。「Watergate Hotel in Washington D.C.」のWebサイトもユニークだ。部屋の予約を行うには、日時、人数、そのほかの条件を入力し、クレジットカードで決済を行うのが通常のサイト予約の手順だ。このようなサービスも、Flashを活用すると、1画面で、直感的な操作を行うことが可能になってしまう。そのほか、SARSで休校を余儀なくされたHong Kong Baptist Universityが行ったWeb教育アプリケーションやeTradeのquote欄(銘柄を入力すると株価の推移が表示される)といったデモも紹介した。

マクロメディアの受付の前で

 マクロメディアが北米で2003年後半に出荷予定の新製品に「Royale」と呼ばれるサーバサイドの開発ツールがある。Flashをプログラミング言語(MXML)で開発できるプログラマ向けの製品だ。バージェス氏は「Royaleを投入することで、Webデザイナだけではなく、プログラマもターゲットとして取り込んでいくことになるだろう」と話す。コードを好む傾向があるエンジニアが「Watergate Hotel in Washington D.C.」のようなWebサイトの構築に迫られた場合に、ニーズが生じる製品となるかもしれない。

 そのほか、Flashテクノロジを組み込んだWebプレゼンテーションソフト「Breeze」(マイクロソフトのパワーポイントのデータをFlashアニメーションに変換し、配信する製品)も紹介した。

 Webアプリケーション市場は、“インフラストラクチャレイヤ”をIBM、BEAの2強が握り、今後は“プレゼンテーションレイヤ”に力場がシフトするとみられている。マクロメディアにももちろん、基盤製品であるJRunがあるが、今からあえて基盤市場に食い込むよりも、同社のインターネット向けレンダリングツールのノウハウを生かした市場でシェアの獲得を目指す方が得策だろう。バージェス氏も「狙いはまさにそこにある」ことを強調した。

(編集局 谷古宇浩司)

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