SNIAの夢は“空飛ぶストレージ管理者”

2003/7/12

SNIA 会長のシェイラ・チルズ氏

 SNIA(ストレージネットワーキング・インダストリ・アソシエーション)の会長で、米レガートシステムズのバイスプレジデントを務めるシェイラ・チルズ(Sheila Childs)氏は、データストレージEXPO(主催:リードエグジビション ジャパン)で講演し、SNIAが策定したストレージ管理のための標準インターフェイス「SMI」(Storage Management Initiative)について、「2004年の第2四半期にはSNIAに参加するベンダの50%がSMIに準拠した製品を出荷するようになる」との見通しを明らかにした。チルズ氏は2005年にはすべてのストレージ製品がSMIに準拠すると予測していて、ヘテロジニアス環境でのストレージ管理が大きく変わりそうだ。

 SMIはストレージディスクや、スイッチ、ホストアダプタ、サーバなどに共通のインターフェイスを提供。1つのストレージ管理ソフトで、異なるベンダのストレージ機器が管理可能になる。企業システムのストレージ機器は異なるベンダの製品が混在し利用されることが多い。SMIに準拠した製品を使うことで管理ソフトを統一でき、管理者の負担を減らし、TCO削減を可能にする。相互運用性や管理性の向上だけでなく、企業がストレージベンダにとらわれずに製品を選択できるため、「必要なところに必要なストレージをミックスさせることができ、選択の幅が広がる」(チルズ氏)という。

 また、チルズ氏は日本企業のストレージの利用について、「DAS(Direct Attached Storage:サーバ直結型ストレージ)がまだまだ主流。扱うデータ量が増えるとスケーラビリティが問題になる。将来的にはSANやNASなどネットワークストレージに移行するだろう」と指摘した。チルズ氏によると、3.5TBのデータを管理する場合、DASを使うと管理者が7.1人必要だが、SANやNAS環境だと3.3人で管理できる。さらにストレージを仮想化した場合は2.4人で管理可能。ポリシーベースでストレージを自動化した場合は、3.5TBをわずか1.4人で管理できるという。

 チルズ氏はSNIAが目指すストレージ管理の理想像を航空機の操縦を例に説明した。「航空機の操縦はかつて、かなりの訓練と経験が必要だった。しかし、今の航空機は操作が簡略化、自動化され、パイロットは航空機を“モニターする”ことが仕事となった。このようなことをストレージ管理でも実現したい」と述べた。

(垣内郁栄)

[関連リンク]
SNIA(ストレージネットーキング・インダストリ・アソシエーション)
SNIA-J(同日本支部)

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