「ストレージだけではない」、サンの仮想化技術

2003/7/15

 次世代のストレージを語るうえで欠かせないキーワードが仮想化(バーチャリゼーション)だ。複数のストレージをネットワークを介して統合し、リソースのプールを作成。ストレージを必要としているサーバやアプリケーションに対して、動的にリソースを割り当てる。物理的には複数あるストレージを、ハードの差異を無視して論理的に1つにまとめることが可能で、管理の容易性が高まる。ストレージ間の稼働率を調整し、ストレージへの無駄な投資をなくすことができる、などのメリットがあるとされる。

米サン・マイクロシステムズのストレージシステムマーケティング シニアディレクター ビル・グロス氏

 しかし、仮想化はストレージだけに適用されるコンセプトではない。データストレージEXPO(主催:リードエグジビション ジャパン)で講演した米サン・マイクロシステムズのストレージシステムマーケティング シニアディレクター ビル・グロス(Bill Groth)氏は、「仮想化はストレージだけに提供される技術ではない。将来はストレージのリソースだけがプールされるのではなく、コンピュータの演算能力やネットワークのリソースもプールされるようになる」と語った。つまり、必要なときに必要なコンピュータ・リソースを利用できる時代が到来するというのだ。この考えはグリッド・コンピューティングが実現しようとしている技術に近いし、IBMのオンデマンドやヒューレット・パッカードのユーティリティ・データ・センタ(UDC)なども同じようなイメージで語られることが多い。

 サンがコンピュータ・リソースの仮想化で中心的な技術に据えようとしているのが「N1」だ。グロス氏によると、「N1こそまさにリソースを仮想化する技術」で、「ヘテロジニアス(異機種混在)環境を1つのシステムとして管理する」という。サンのロードマップでN1は、リソースを取りまとめて1つのプールにする「バーチャリゼーション」と、リソースをビジネスのサービスやアプリケーションに割り当てる「プロビジョニング」、設定したポリシーに従いリソースの割り当てを自動化する「ポリシー・オートメーション」の3段階で進展する。

 では、N1の中でストレージはどういう進化を遂げるのか? グロス氏は「2005年にはストレージは“データサービスの時代”を迎える」と説明した。ストレージ仮想化の後に訪れるデータサービスの特徴は、データの重要度に合わせて格納するストレージを自動で選択できることだ。企業の財務データなど高いセキュリティと確実な保存が求められるデータは、高信頼なディスクに格納。日々蓄積されるが、後から参照することが少ない業務データは、低価格なテープストレージに格納するという作業を自動で行えるようになる。しかもこれらのストレージの管理は統合した形で行うことができるようになる。つまり、「データ中心のアーキテクチャを構築し、コスト構造が異なるストレージでシステム統合のメリットを享受できる」(グロス氏)というのだ。

 サンはこのデータサービスを実現する製品の第1弾として、異なるストレージを仮想化するストレージ管理製品「N1 Data Platform」を4月に発表した。ヘテロジニアス環境で構築されたSAN( Storage Area Network)に接続することで、ストレージを仮想化できる。グロス氏によると、N1 Data Platformには今後、さまざまな機能が追加される予定で、リモートレプリケーション機能や、レガシーなストレージのデータを統合するデータマイグレーション機能、ポリシーベースの管理機能などが予定されているという。グロス氏は「仮想化はストレージだけではない。1つの段階にすぎない」と述べ、N1の今後の広がりを強調した。

(垣内郁栄)

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サン・マイクロシステムズ

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