実用化にらむ無線ICタグ、ユニシスが管理ソフト出荷へ

2003/7/26

 日本ユニシスは無線ICタグ(RFID:Radio Frequency Identification)などさまざまなデバイスやセンサーから得られる情報を管理し、企業システムと連携させる新ソフト「Information Wharf 1.0」(インフォメーション・ワーフ)を10月にも出荷することを明らかにした。ユニシスが昨年10月に発表したマルチデバイス管理のアーキテクチャ「Resource Operation Management Architecture」(ROMA)を実現するソフトで、無線ICタグのほかにICカード、GPSなどと連携させることができるという。ユニシスは無線ICタグを使った実験を顧客企業と進めていて、ROMAをプラットフォームとするソリューションを探る。

 Information Wharfは、無線ICタグやICカードなどマルチデバイスからのデータを収集し、一元管理する「スマート・フュージョン機能」と、収集したデータを基にあらかじめ設定したルールでアプリケーションを起動する「ルールベース・タギング機能」がある。

 出荷時に利用できるデバイスは、大日本印刷製、オムロン製の無線ICタグと、ソニーのFelicaを利用したICカード、GPSデバイス。ユニシスはデバイスに対応するプラグを開発することで、対応デバイスを増やす考え。米国が主導する無線ICタグの「オートIDセンター」(日本の代表は慶応大学の村井純教授)や、東京大学大学院の坂村健教授が中心となって開発している「ユビキタスIDセンター」に対応したプラグも開発していく。無線ICタグについては日米で規格作りが進んでいるが、ユニシスはどちらの開発にも参加、サポートも進める。

日本ユニシスのソリューションビジネス統括部 ビジネス開発二部 グループリーダ 松谷博氏。「Information Wharf」の“Wharf”は“波止場”の意味だという

 Information Wharfの最小構成価格は1000万円から。ユニシスは今年度で数億円の売り上げを見込んでいる。日本ユニシスのソリューションビジネス統括部 ビジネス開発二部 グループリーダ 松谷博氏によると、10月の出荷時にInformation Wharfが対応するのはLinux版のみだが、Windows版やSolaris版も順次出荷するという。

 ユニシスは無線ICタグを使った実証実験にも積極的。5月末まで行ってきた日本航空との共同実験では、航空貨物に無線ICタグを貼付。空港の貨物置き場で、フォークリフトに搭載したアンテナを使い貨物の位置を検知する実験や、置き場の四方の柱に貼付したアンテナでフォークリフトで運ばれる貨物を検知する実験を行った。日本航空が実際に導入するかは未定だが、ユニシスでは今後、実用時の課題をにらんだ実験を行っていくという。

 アパレル業界も無線ICタグに注目している。ユニシスは有名ブランドと協力して、都内の店舗で実証実験を行うことを計画している。ダンボールに入れたままで衣服の入荷検品する実験や、万引き防止への活用、ROMAプラットフォームを生かしてICカードの会員証や携帯電話と連動させた利用法を探る。

 ユニシスは、既存のバーコードの代わりとして商品に無線ICタグを付けて出荷する実験も、製造業企業と共同で行っているという。ただ、ユニシスは共同実験を行っている企業名を発表していない。無線ICタグを付ける商品は自動車関連で、単価は最低1万円程度。無線ICタグを付けることで物流の効率化や販売期限の管理、ほかのセンサーと連動させて使用状況が把握できないか、などを確かめているという。別の製造業の企業とは工場内の在庫や部材管理、製造から小売店までの在庫状況の把握に無線ICタグを活用できないか実験しているという。

 ROMAは無線ICタグだけでなく、センサーなどさまざまなデバイスに対応する。しかし、松谷氏は「今年は無線ICタグにフォーカスし、実証実験を積極的に展開する」と説明。特に小売、アパレルなどの流通分野と、貨物管理など物流分野に力を入れるという。

(垣内郁栄)

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