「情報システム部は労働集約的」、CAが示す解決策は

2003/7/29

 「情報システム部が一番、労働集約的だ」。コンピュータ・アソシエイツの代表取締役社長 三ッ森隆司氏は、日本のITに関する運用管理の問題点をこう指摘した。「社員のクライアントPCに新しいソフトをインストールする場合に、情報システム部が手作業でインストールしている。米国ではネットワークを使ってオートメーションでインストールするのが普通」と日米の差を指摘。業務効率が低下した結果、「情報システム部の予算の70%以上が運用管理に当てられている」と述べ、運用管理の効率を向上させるソリューションの必要性を訴えた。

コンピュータ・アソシエイツの代表取締役社長 三ッ森隆司氏

 企業の情報システムにマルチベンダのサーバやネットワーク機器、ストレージが混在するようになり、情シス部が担当する運用管理の作業は格段に増している。加えて予算や人員は増えず、厳しい環境で作業をこなさざるを得ないのが、多くの情シス部の現状だ。三ッ森氏は、このような非効率な運用管理を改善するには、ITシステムの適格なマネジメントが必要と訴える。しかし、「日本は相当マネジメントが遅れている」というのが三ッ森氏の認識だ。

 ITシステムのマネジメントを改善するためにCAが提案しているのが、ユーティリティ・コンピューティングの活用だ。コンピュータやネットワークのリソースを仮想化することで、システムの複雑性を解消し、運用管理を自動化することを目指す考え方だ。CAが考えるユーティリティ・コンピューティングの仕組みは、マネジメントが中心。ハードベンダやほかのソフトベンダ、サービスプロバイダとパートナーシップを組み、CAが提供する統合マネジメントツールで、すべてのハード、ソフト、サービスを統合管理するという考えだ。CAの強みは、ソフト専業のため、どのようなパートナーとも組むことができ、柔軟にソリューションを構築できること。三ッ森氏は「ベンダに対してニュートラルなCAの姿勢を生かすことができる」と説明した。

 CAが7月15日に発表したソニーとのストレージ開発に関する提携も、CAのニュートラルな姿勢を反映した結果だ。「日本が仕掛けた」(三ッ森氏)というソニーの提携に続き、CAは日本企業との提携を検討している。多彩なハード技術を持つ日本のベンダに対して、CAがソフト技術を提供し、マネジメント能力に優れたソリューションを共同開発するのが基本戦略のようだ。三ッ森氏は、日本企業との協力について「方向性としてはセキュリティ関連で組みやすい」と述べた。「CAと組むことで日本企業の技術が世界で売りやすくなる」という考えを基にパートナーシップを拡大する方針だ。

(垣内郁栄)

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CAの発表資料

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